Akua-アクア-【完全版】~愛と憎しみの果てに~

夢月みつき

Akua-アクア-

第1話「さすらいの旅人」

 ウォーター・タウンAIイラスト

 https://kakuyomu.jp/users/ca8000k/news/16817330656975735810



 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



 ―その者、水を操る剣士なり。世に危機が迫った時その者、はるか西の地より現れん。邪悪を滅する力は、人々に希望をもたらすであろう―

 -ウォーター・タウン伝承書より-


 ここは、ウォーター・タウン。かつては水の都と呼ばれ、町中に張り巡らされた水路に舟が行きかう賑やかで美しい街並みだったが。この地に巣食うあくどい土地主により、荒廃して水は枯れ現在は、無法地帯と化し

 すっかり、さびれてしまっている。



 裏通りを一人の旅人が歩いていた。黒髪の青年は、ふらふらと足元もおぼつかず

 千鳥足で歩いてきた酔っ払いにぶつかり、

 地面に倒れ伏してしまった。

 青年の横を人々が行きかうが、誰一人助けようともしない。たまに立ち止まる人もいるが、

 見て見ぬふりをしてまた、通り過ぎてしまう。



 そんなさなか、一人の少女が近寄ってきて倒れている青年に声をかけた。

「ねえ、あんた。大丈夫なの?」

 少女は青年をゆさゆさと揺さぶってみた。

「うう……」かすかに声がもれてぐーっと、腹の虫の音が響いた。



「腹減った……メシ」青年はそう、つぶやき薄目を開けまた動かなくなった。

 少女は、青年の細めの割には重い身体を引きずり、歩き始める。

 ジロジロと通りすがりの婦人が見ている。

「くうっ! 重い!!」少女は顔をゆがめた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る