4章:王都の悪夢
1.ステファニーの墓参り
夏休みが終わり、教室に入ると、新しい学期の始まりを告げる先生の声が響いていました。しかし、私の心は完全には学院に戻っていませんでした。実家の辺境伯領での出来事が、私の心に深い影を落としていたのです。
学院での最初の日、私たちは亡くなった友人ステファニーの墓参りに行くことにしました。墓地は王都の教会の奥、静かな場所にあり、緑豊かな木々に囲まれていました。私たちが到着すると、ステファニーの墓石には既に花が手向けられていました。
「ステファニー、久しぶりね」とリザが小さな声でつぶやきました。
私たちは一列に並び、ステファニーの墓石の前で黙祷を捧げました。風が静かに吹き抜け、その穏やかな音が私たちの心を少しだけ癒してくれました。
墓参りを終え、私たちは教会のそばを通りかかりました。そこでは賛美歌が美しく響いていました。私たちは一時立ち止まり、その歌声に耳を傾けました。
「ステファニーもこの歌が好きだったわね」とメアリーが言いました。
私たちは無言で頷き、ステファニーとの思い出に浸りました。賛美歌の歌声は、私たちの心にステファニーの存在を再び呼び起こしていた。
その時、私はドーラの表情が一瞬、曇るのを見ました。彼女は賛美歌を聞いて、何か不快な感覚を覚えているようでした。
ドーラは「ちょっと・・・」と言って、その場を離れました。
私は彼女の後を追いかけ、「大丈夫?」と尋ねましたが、彼女は「大丈夫よ、少し気分が悪いだけ」と答えるのが精一杯のようでした。
私たちはその日、王都の街を静かに歩きながら、新しい学期の始まりとステファニーの不在に心を寄せ合いました。新しい学期は始まったばかりでしたが、私たちの心は既に多くの思いで重くなっていました。
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