2.夏の辺境伯領

 私の実家の辺境伯領の朝は、王都のような喧騒から離れた静寂に包まれていました。ドーラと私は、広大な敷地を散策することから始めました。領地は自然に囲まれ、遠くには青々とした森が広がり、清らかな湖が輝いていました。


「ここが私の実家よ」と私が誇らしげに言うと、ドーラは「とても美しいわ・・・王都とは全く違うわね」と感激の声をあげました。

 彼女の目は湖に映る朝日に照らされてきらめいていました。


 私たちは森の小道を歩き、鳥のさえずりや木々のささやきに耳を傾けました。

「こんなに自然が豊かな場所は初めて」とドーラが言うと、「私もここが大好きなの」と答えました。


 散策の後、私たちは屋敷へ戻りました。屋敷は湖のほとりに建ち、その歴史と威厳が感じられます。ドーラは屋敷の大きさと美しさに圧倒され、「まるでおとぎ話の中にいるみたい」と言いました。私はドーラの言葉に嬉しくなりました。


 屋敷の中では、母が新しい友人を暖かく迎えてくれました。

「ドーラ、ここがあなたの家のように感じてほしいわ」と母が言うと、ドーラは「ありがとうございます。とても居心地が良いです」と感謝の言葉を返しました。

 私の母は貴族の出ですが、メイドと一緒に料理をしたりと庶民的な所のある素敵な母親です。私も母を見習いたいと思っています。


 昼食は屋敷の庭園でとりました。私たちは花々に囲まれたテーブルに座り、領地の特産品を堪能しました。新鮮な野菜、芳醇な果物、そして風味豊かな肉料理が並びました。ドーラは「こんな美味しい食事は初めて」と言いながら、目を輝かせていました。


 食後、私たちは庭園をさらに探索し、小川のせせらぎや花の香りを楽しみました。ドーラは花々に興味深く触れ、「こんなに多くの種類の花を見たことがないわ」と驚きを隠せないようでした。


 夕暮れ時、私たちは湖畔に座り、夕日が水面に映る美しい光景を眺めました。ドーラは「ここに来て本当に良かったわ。アリス、ありがとう」と言い、私は彼女の温かい笑顔に心を打たれました。

 この日、辺境伯領の美しさを共に体験し、ドーラとの友情はより深まったと思います。

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