第8話 ミネラルショー

 公園から5分ほどで目的の建物に着くと入口の外まで人でいっぱいで、想像以上に賑わっている。

「ミネラルショーに初めてきたけれど、人が多くて驚いたかな」

「今回は規模が大きいので人も多いです。2つのフロアを使っていて、いろいろな種類の鉱物や宝石があります。みーなさんも興味がわくと思います」


「普段見ないから、今から楽しみよ」

「チケットはあちらに売っているので行きます」

 綾音ちゃんが私の腕を取って歩き出す。ミネラルショーは経験がないから、今日は綾音ちゃんに任せれば平気みたい。


 チケットを買って綾音ちゃんと一緒にフロアに入る。フリーマーケットの規模を大きくした感じで、フロア全体にお店があった。通路にも人が溢れていて、人気のお店の前では人だかりができている。


「熱気が凄くて、みんな楽しんでいるのが伝わってくるかな。お店はよく分からないから、行き先は綾音ちゃんに任せるね」

「おすすめのお店から案内します。ひとつだけ注意してほしいのは、品物に触る場合は店員に声をかけてください。高価は品物も多いので、慣れないうちは眺めるだけがよいと思います」


「注意するね。ちなみに高価な品物はどの程度かな」

「100万円以上の品物は、当たり前のように置いてあります」

 思った以上に高額だった。鉱物の価値はよく分からないけれど、ジュエリーにすれば100万円以上があってもおかしくないと感じた。


「ほかには何か注意点はある?」

 綾音ちゃんに聞いた。

「基本は普通のお店と同じです。ただ値段の付け方が異なっています」

「どのような感じかな」


「表記は円が多いのですが付属する記号があります。pとctとgがありますが、みーなさんには違いが分かりますか」

 綾音ちゃんが覗き込むように私の顔をみる。パズルを挑戦された感じで、3つの違いを考え出す。ひとつだけは何となくわかった。


「gはグラムで重さかな。あとのふたつは分からない」

「さすが、みーなさんです。gは正解で重さによって値段が変わります。pはピースでルースや鉱物ひとつの値段です。ctはカラットという重さで、1ctは0.2gになります」


「カラットは宝石でよく使われる重さよね。聞いたことがあったかな。グラムとカラットは5倍も異なるから間違うと大変ね」

「その通りです。慣れないうちは、値段を店員に聞くのが確実です。おすすめのお店が見えてきました。オパール専門店です」


 綾音ちゃんがお店に案内してくれた。顔なじみのお店なのか、店員から綾音ちゃんに声をかけてくる。店員が私に気づいて、簡単な挨拶をすませる。

 展示されているオパールや鉱物を眺めた。


「化石もおいてあるのね」

 オパール専門店なのに貝の化石があって驚いた。

「その貝はシェルオパールです。貝の部分がオパールに置き換わっているので、オパールのように輝きがあります」

 綾音ちゃんが答えてくれた。


「たしかに表面が輝いているかな。オパールにはいろいろな種類があるのね」

「宝石のオパールでは、オーストラリア産とメキシコ産が有名です。オーストラリア産には、オパールの中で1番高価と言われるブラックオパールがあります。オーストラリア産には、ほかにボルダーオパールやホワイトオパールがあります」


 彩香ちゃんからオパールの種類をいろいろと教えてもらった。メキシコ産にはファイヤーオパールとウォーターオパールがあって、名前から分かるように赤色や青色をしているみたい。

 実際のルースをみせてもらって違いを説明してもらった。店員が奥からひとつのルースをもってきてくれた。ブラックオパールだと教えてくれる。


「このブラックオパールは赤色や青色に変化して、見る角度で色合いも異なって凄いかな。眩しいくらいに輝きも凄いよね」

「最高級品のブラックオパールです。1ctくらいの大きさですが、100万円は超えると思います」


 綾音ちゃんの説明に店員が頷いている。普段は見せない特別なルースだと私にも分かった。綾音ちゃんがいたから、今日は特別なルースが見られてよかった。

「貴重なルースが見られてうれしい」

 店員にお礼を言ってから、オパール専門店をあとにする。


「みーなさんが喜んでくれて、わたしもうれしいです。今までみたブラックオパールの中でも1番だと思います。でも1番尊敬しているのは、みーなさんです。ほかにもすてきな宝石がたくさんありますから、次を案内します」

 その後もたくさんのお店を回って鉱物や宝石を堪能した。

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