常禅にいるための苦行としての日常

存思院

一切勝者

 自然に生きていると、当然の如く苦しみが生じる。目覚めから、出勤、学業やら、何やら。あらゆる種類の嫌なことが、心に降りかかる。

 もし、私が夢をもって何かに邁進し、それが未達成であるが故に苦しむのであれば、苦しみは己の精神から生じている。

 これと本質的には同じかもしれないが、河を背浮きで流れようと岩に当たる、かのような種類の苦しみがある。


 普段平静を守れる瞑想者も、落としきれていない心の重荷が残っていれば、突然と形容される種類のハプニングによって禅は忘却される。


 恋人が浮気したとか、親しい人が亡くなったとか、空から降って来た秋刀魚に切り刻まれたとか。

 聖典の知識によって、それは幻想であると理解したとて、幻想を体感するのは容易ではない。


 ところで、釈尊があるときひどく罵られたとか。

 静かに言葉を聞き終えた彼は、合掌して感謝をおくった。


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 誰かが仏陀を侮辱しに来た。仏陀は静かなままだった。彼は熱心に耳を傾け、それから「ありがとう」と言った。


 その男は非常に困惑した。

 彼は言った。


「あんたは狂ったのか?俺はあんたを侮辱し、あんたを傷つけているのに、あんたは単にありがとうと言うのか?」


 仏陀は言った。


「そうだ、なぜなら私はあなたを待っていたからだ。私は過去においてあなたを侮辱してきた。それで私は待っていた――あなたが来ない限り私は完全に自由ではない。今あなたは最後の人だ。私の貸し借りは閉じられた。来てくれてどうもありがとう。あなたは待っていたかもしれない。あなたはこの生に来なかったかもしれない。それなら私はあなたを待たなければならなかっただろう。そして私はもう何も言うことはない。なぜならもうたくさんだからだ。私は別の足かせを作りたくはない」


 それならクリヤマンのカルマ、日々のカルマは貯蔵庫に落ちない。それに追加されない。

 それどころか、貯蔵庫はそれがあったものよりも少し小さくなる。

 同じことがプララブダ――全人生、この生――について真実だ。

 もしこの生であなたが反応し続けるなら、あなたは貯蔵庫をますます多く作っているのだ。

 あなたは何度も何度も来なければならないだろう。

 あなたはあまりにも多くの足かせを作っている。あなたは奴隷になるだろう。


 基本的なことは精神的に自由でいることだ。

 束縛はカルマによって作られる。

 あなたが無意識にすることは何でもカルマになる。

 気づきのない状態で為されたどんな行為でもカルマになるのは、気づきのない状態で為されたどんな行為もまったく行為ではないからだ。

 それは反応だ。

 あなたが十分な気づきの状態で何かをする時、それは反応ではない。

 それはひとつの行為であり、自発的で、全一(トータル)だ。それは何の痕跡も残さない。

 それはそれ自体で完全なものだ。それは不完全なものではない。

 もしそれが不完全なものなら、いつかそれは完結されなければならない。

 そこでもしこの生であなたが油断のないままでいれば、プララブダは消えてあなたの貯蔵庫はますます空になる。


 



Yoga: The Alpha and the Omega, Vol.8 - 1章


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 ジャイナ教においては、行為がJīvaを縛ると云う。

 本来的に上昇性をもち、まったく自然に天に至るべき我々を錨のようにサンサーラに繋ぎとめるのは、善悪問わずあらゆる行為であると。


 聖典に曰く、行為を放棄しない聖者はいない。

 気づいていることによって、行為をしながら、行為を放棄せよ。


 一切勝者はすこし過激に、修行≒苦行によってカルマを落とさんとする。

 君、今の時代に荒野で日光に焼かれるかね。


 二日半飲食を断つのも、恋人に嫉妬するのも、精神においては同じ苦しみだ。そこの問題は、気づいているか、否かなのだから。

 ならば、神の宮は尊ばれ、労わられるべきだ。


 病気になれば、ああ、私は過去に殺生をしたのだろう。死なぬままに、この罪を清められるのはなんと幸運なのか、と云う。

 浮気されれば、いつかの妻の悲しみであろうと云う。


 何をしていても荒野の苦行はできる。

 

 目覚めていれば、抜錨は近い。

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