夢の中で目覚めたので、抜け出せるまでいろエロやり放題で暮らします。

昼日中

第1話 話の枕

目が覚めた。


思わず両手で抱きしめた。

もちろんそこには誰もいない。

自分で自分を抱きしめた俺が、仰向けに寝ているだけだった。


めちゃくちゃリアルな夢、


目覚めた今でも残像が浮かぶし、感触も残っている。

全裸の、髪も肌も目も、それぞれの色をした、若くてとびきりの美女が5人、

いや6人、ものすごく大きなベッドの上で、同じく全裸の俺の全身に舌を這わせ、

豊かな胸を押し付け、ツルツルの陰部をこすりつけてくる。


もちろん俺だって、そんな彼女たちに交じって、じっとしていられるはずもなく、

彼女たちのあらゆるところに手を伸ばし、舐めて吸って、挿入を繰り返す。


上から突き立て下から突き上げ、後ろから尻の肉を掴んで激しく突き動かす。

彼女たちは女同士でも舌を絡め、指を使い、かさねこすり合う。


俺達の全身は、唾液と愛液にまみれ、彼女たちからは、何度も果てた俺のものが

滴っている。


彼女の中の一人が俺に覆いかぶさり、激しく舌を絡め合っているところで、

いきなり目が覚めてしまった。

で、つい手が出ちゃったんだね。だって、今までそこにいたんだもん。


夢っていうと、見たいものがハッキリ見えなかったり、

したいことがうまくできなかったり、まあ普通はモヤモヤしたもんだろう。

でもさっきまでのは、目覚めた今でも夢とはおもえないぐらい、ホントに

リアルなものだった。


まあ何がリアルかっていうと、まあなんだ、年甲斐もなくっていうか、50歳も少々過ぎてるんだけど、なんというかね、パンツがね、変な感触。


精子を大量生産してた、10代の頃でも夢精なんて覚えがないのに、

生産調整始めている今になって初体験、なんともお恥ずかしい。


しっかし、これは気色悪いもんだねえ、生地がじっとり下腹部に張り付いてるよ。


着替えたいのはやまやまなんだけど、気怠さもあって、横向けばパンツと下腹に隙間があきそうだとか、そうしているうち乾くだろうとか、などとウダウダ考えていたら目論見通り、再度眠りについていた。




鳴ったのか、鳴っているのか、くう~、鳴ってるな、アラーム。

眠い、眠たい、まだ無理、脳に眠りの膜がシッカリまとわりついている。

とりあえず止めよう、そしてあとほんのチョッと、チョッとだけ寝よう。




起きました、ハイ、ゴメンナサイ、遅刻です。

ほんのチョッとのつもりだったのに、ありゃま、2時間も過ぎてやんの。


ま、こうなりゃアセってもしようがない。

オヤジになると、そのへん厚かましくなる。

この先、もうそんなに長く働くわけでもないしね、ボチボチやってりゃそれでよし。


今更何をどうしたって、たいして人生変わることなんか、ありゃしないんだから。

とりあえず今、やんなきゃいけないこと。

まずは違和感たっぷりの、ゴワゴワパンツ、履き替えときましょ。




遅刻した俺は、一回り以上も年下の課長からお小言を食らって、

午後から出勤という扱いになる。

それまでは何もすることもないんで、一足早めに社食へGO。


昼休みまでまだチョッと、という時間だから、ほとんど人はいない。

これが昼を知らせるチャイムがなると、200席程度のテーブルは、

あっという間に埋まってしまう。


A定食を券売機で購入し、まだ並ぶ者もいない受け渡しカウンターに食券を

差しだし、白衣のおばちゃんから、おかずやご飯が乗ったトレーを受け取る。

ガラガラなんだから、どこでもいいのに、ついいつもの席に座ってしまう。


サッサと食い終わり、美味くもないコーヒーを、紙コップからすすっていると、

さっき鳴ったチャイムのあと、続々テーブルを埋めていく人の中に、同じ部署の

いつもの顔ぶれが、それぞれトレーを持ってやってきた。


みんなが自分の指定席につき、食事を始めると、



「どうしたの、今日はずい分と社長出勤じゃない」



俺の右隣に座った関さんが声をかけてきた。

俺より少し年上だけど、同期入社だ。


関さん、今日はカツ丼なんだ。

この人はその料理がなんであれ、テーブルに用意してある調味料のソースと

唐辛子を、これでもかってぐらいブッかける。


それじゃ何食っても同じ味だろ、って前に聞いたことがあるんだけど、そしたら、

料理が違えば味も風味も、もちろん違うさって。

逆に繊細なのか。


俺は空になったコーヒーカップを、指でもて遊びながら答えた。



「いやあ、女がさあ、しつこくってさあ、大変だったんだよ」



嘘じゃないよ、夢なだけだよ。



「っていう、夢でも見たのかい」



ありゃま、ご名答。



「本当だって、いろいろあってさあ」



パンツ汚したり。



「また遅くまでネットとかやってたんじゃないの、出会い系とかさあ」



アナタ、そばには若いご婦人方も座っておられるのですよ、

私の評判を貶めるような発言は、遠慮願いたい。



「違うよ、そんなんじゃないってば」



エロサイトじゃないよ、エロ夢だよ。



「まあいいけどね、それよか課長になんか言われた?」



関さんは、ニヤリと俺に聞いてきた。



「言われたさあ、ネッチネチだよ」


「だろうね、今朝はアンタの持ち場で、しばらくジッと、立ってたかえらねえ」


「嘘ッ?」


「ホントだよ」



俺の職場は、テレビやネットで、主にインテリア商品を通販している会社の、倉庫兼配送センターだ。

俺は6年前に契約社員で入社して、家具の組み立てを担当する部署にいる。


高級っぽい見た目で、お手頃価格。

中国あたりで作られたパーツを、俺たちが組み立て完成させる。


各人に作業スペースが割り当てられていて、今朝の課長は俺のスペースに立ち、

心中で悪態をつき、それをどうイビリに変換してやろうかと、ドス黒い思いを

巡らせていたわけですな、朝っぱらからご苦労さん。


俺は子供の頃から手先は器用だったんで、この部署についてから、俺が組み立てた

製品へのクレームは、ほとんどない。


家具だけじゃなく、この会社の取扱商品全般で、わずかなズレとか歪みとかでも、

購入者からのクレームが日常化している。


その中で、それを受けない俺は、それだけでも会社に多大な貢献をしているのだ。

ごくたまにあるクレームだって、材質だったり、耐久性についてのことなので、

俺の作業の範疇のことではない。


ノークレームノーリターン(無返品)。

たまには遅刻ぐらいしとかなきゃ、俺だけイイ子ちゃん過ぎるってもんでしょ、

課長。

なんならさらに、肩なぞ揉んでもらってもいいんじゃないかと、思ったりも

するんだけど。


ま、遅刻で帳尻を合わせたところで、今日は定時でサクッと帰って、食って飲んで

風呂入って、さっさと寝ちまおう。

そんでまた、今朝の夢、続きって見れないものかねえ。

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