華やかな神々と人々の庭園

水浅葱

第一部 運命の地での偶然と必然的な出会い

第1話 運命の女性との出会い

(ここに一人の青年がおりました。その青年は霊的存在が見える者でした。幼少期から忌み嫌われて来た彼は、一人旅を続ける中で、ある土地に流れ着きました。その土地で一人の女性と出会い、そして、とある存在と出会う事によって、青年の運命は180度変わるほどに華やかな物になります。これは一人の男性と一人の女性、そして、とある神様の物語です)




……待ちなさいよ!!待ってって言ってんでしょうが!!




(俺の後方でがみがみと騒ぐ女の言葉を無視してバイクに跨ろうとした、その時だった。女は小石を俺に投げつけて来た。当たれば、たんこぶが出来るのは間違いない。その時、俺の耳元で微かな声が聞こえた)




≪右に避けなさい≫




(また何時もの霊的な声だと感じ取った。無視を決め込もうとした。だが今回は、何時もの悪霊の声とはまるっきり別だった)




≪早く避けなさい!!≫




(その声に俺は素直に従い右に避けると、小石は髪を掠めて田んぼに勢いよく落ちて行った。避けた後に霊的な存在を探そうとすると、その霊は笑みを浮かべてほっとした表情をしていた)




あんた、この辺りの者じゃあないでしょう?




(霊を見ていると、小石を投げて来た女が俺に詰め寄って来て、問い詰める様に語り掛けて来た。確かに俺はこの集落の者ではない。だが、見ず知らずの奴に小石を投げつけて来る様な失礼な女と口をききたくなく、視線を逸らしていた)




何とか言いなさいよ!?




(視線を逸らしていると、女は俺の胸倉を掴んで瞳を凝視して来た。間近で見る女の顔は、とっても綺麗な顔をしていた。瞳を見つめる女の表情は、何処かもの悲し気な感じで、俺の顔を見て来ていた)




……離せよ!!




(女の手を乱暴に振り払うと、女はバランスを崩して地面に倒れる。その時に、俺はまたやってしまったと自らの行動を悔いながら膝を着いていた。女に背を向けてバイクに近寄った時だった。女がもの悲し気に俺の背に語りかけて来たのは)




…あんた…あそこで何してたのよ…




(見られていた。人里離れた場所から霊的な声を聞いた俺は、バイクを降りて山深くに入った地で神に会っていた)

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