第382話
タロットカードに、運命の輪というカードがある。
前世からの因果が、幻術師ゲールにもある。
マルティナが生成された時に宿った命の因果をたどれば、呪われた王妃トルネリカの生まれ変わりだった。
神聖教団の本部ハユウで育ったエルヴィーヌとマルティナという姉妹がいた。
子供が不思議な力があるとわかると、自分たちまで近所の人たちに不気味に思われると警戒して、神聖教団に養子に出して謝礼金を受け取る親もいた。
青い瞳のマルティナは大人の頭の中で考えたことを読み取ることがあり、姉のエルヴィーヌは手をふれずに、物をちょっぴり動かせる念動力があった。
青い瞳の幼女マルティナは短命で神聖教団の本部ハユウに来て間もなく、突然亡くなってしまった。
この青い瞳のマルティナが突然亡くなったのは、前世からの因果があった。
ホムンクルスの幼女の素材となった子供も、大人の頭の中で考えたことを察する能力を強く持つ女の子だったが、急死した。
同じ能力を強く持つ女の子たち、それも心臓発作で幼くして急死した運命を持つ二人の幼女には、共通点があった。
ホムンクルスの実験素材にされた幼女と、エルヴィーヌの妹の青い瞳のマルティナの顔立ちや髪色、ホクロの位置までそっくりだったのは偶然ではない。
彼女たちは、呪われし初代ターレン王ファウストの王妃トルネリカの生まれ変わりだった。
青い瞳の幼女マルティナの前世は、ホムンクルスの実験素材にされた少女、その因果をたどれば、王妃トルネリカにたどりつく。
ターレン王朝の初代国王ファウストは蛇神の都の儀式の祭を妨害した。
その祟りによってファウストが呪われて、急激に衰弱した。
その祟りを戦士シモンの一族と、王妃トルネリカが、ファウストの身代わりとして呪いを受け王を存命させた。
王妃トルネリカの転生者たちは、大いなる
残留プラーナの青い瞳のマルティナの
そして、王妃トルネリカから命の力を分けられた王ファウストの転生者のゲールが、魔導書と契約して魔石オクルス・ムンディとして、彼女たちに前世からの命の力を返した。
こうして、青い瞳のマルティナの
女神ラーナの加護の生まれ変わり――世界の命の力が結びついて、一つの命となり生まれてくるという力が作用した。
ホムンクルス実験体が、ヴァンピールのアゼルローゼとアデラの血に宿る魔力を受け継いでいたことも、短命の因果を解放する力として作用した。
こうして、蘇生した紫色の瞳のホムンクルス実験体の幼女ができた。
そして、青い瞳の妹を亡くして悲しみを抱えるエルヴィーヌの心と、姉を慕う
蘇生した紫色のマルティナは、実験体の幼女でも、青い瞳の幼女でもない新たな一つの命として生まれ変わった存在である。
タロットカードの小アルカナには、
人間の姿をしている心が無いホムンクルス実験体。
ゲールは、前世のファウストという人物からの因果から解放されるまでには、残った右目の視力を捧げ、冒険者の乙女エレンの命を救助するまで続いていく。
心や因果が注がれていて満たされている
ペンタクル=赤錆び銀貨
魔剣ノクティスは、聖騎士ミレイユの人生に深く関わっている。
蛇神の錫杖は、僧侶リーナに女神ラーナの転生者として生きのびさせた。
赤錆び銀貨は、人の心とつながる夢の力が世界を
人は因果だけでなく、時には摂理にすらとらわれずに、自らの人生を心の力を信じて生きる選択ができるということなのだ。
さて、エリザは悩んでいる。
周囲の人たちから、可憐な美少女に見られがちだが、実際は十九歳の乙女で、しっかりとした素敵な大人に見られたいと憧れている。
この世界には、
(私は、何をどうすれば、素敵な大人だとみんなから思ってもらえるんでしょうか?)
心や人生は、たとえすごいアイテムを手にしていたとしても、自分自身でしか選択していくことしかできない。
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