第17話 世界龍の襲来と陣の怒り
陣が釣りを楽しんだ日から約1週間ほど経った。その後も釣りをしたり畑を眺めたり外で遊んだりなど今までよりは外に出るようになった陣。
しかし陣は今日家の中にてキャシーとゼルベルトと共に映画を見ていた。
「・・・・」
「・・・・」
「・・・・」
真剣に見ている3人。今映画はクライマックスを迎えておりとても重要な時間。そんな時にまるで邪魔するようにソレはやってきた。
最初に気付いたのはリンだった。
『マスター。世界龍ボルディアが急速にこちらに向かっております』
そう映画に集中している陣にも見えるように文字を表示するリン。
「ああ、ごめん。今は大事なところだから後で・・・・・世界龍?」
ポチ
チラっと文字を確認して後にしようと考えた陣だったが世界龍という文字が視界に入り思わずテレビを一時停止する。
「ああ!お兄ちゃん!なにするの!いいところだったのに!」
「ごめんごめんキャシーちゃん。映画はちょっと待って」
怒るキャシーに宥める陣。すると、ゼルベルトも世界龍の気配を察知した。
「・・・ふむ・・・確かにこの気配は一度視認したことのある世界龍そのものですな・・・」
どうやらゼルベルトは世界龍を一度見たことがあるらしい。
「ゼル爺?世界龍って何なの?世界一強いとかリンが言ってたけど?」
「その通りですございます。魔物ランク10ですしおそらくやろうと思えばこの星さえも壊すことが出来るでしょうな」
「星を!?なんだってそんな奴がうちなんかに!?というかあとどれぐらいでくるんだ!?」
焦り慌てる陣。そしてリンがその陣の質問に答える。
『なぜここに来たかは不明ですが、あとどれぐらいで来るのかという質問にはもう来ておりますと返答いたします』
「・・・え?・・・」
その返答に呆気にとられる陣。これにはいくつかの理由がある。1つは向かってきているという報告があってから十数秒しか経っていないこと。2つはそれにしては一切の音がしないこと。
「・・・大人しい龍なのかな?」
『否。現在も
「そういえばそんなことも出来るんだったな・・・さすがはリン・・・」
「いやはや・・・
ゼルベルトがリンの文字を読み汗を流して少しの動揺をしている。その珍しい光景に今まで映画の続きが見れないことにふてくされていたキャシーが興味を持つ。
「ねえ?お爺ちゃん?その
「ああ、そうなんだよ。なんでもその威力はこの星を破壊できる威力を持っているらしいんだ。分かるかな?」
「んん~?・・・・・・なんだかすごそうっていうのは分かったけど・・・つまりリンさんの方が強いってこと?」
「そうだね・・・どうやら陣様がこの世界に来たことによって世界最強の存在が世界龍ボルディアから陣様に塗り替えられたようですな」
「いやいやいや!?俺はただ引きこもってるだけですべてはリンがやったことだし!?・・・というかちょっと気になるかも・・・」
ゼルベルトからの称賛も陣はあくまでもすごいのはリンだと反対。そして世界龍ボルディアに興味を抱いた様子の陣が窓から外を見てみようとする。
「どっから見えるかな?」
『カーテンを開けますか?』
「そういえばカーテン閉まってるな。じゃあお願い」
『是。かしこまりました』
そう言ってリンはカーテンを開ける。すると窓の外には草原も海も何も見えず見えるのは金色の景色のみ。
「・・・なにこれ?・・・」
「ふわぁ~!きれい!」
金色の景色に興奮気味のキャシーと訳が分からないといった感じで首を傾げる陣。
「おそらく
「へえ~そうなんだ・・・あれ?ちょっと待てよ?」
なにかに気付いた陣。そしてゼルベルトは陣が何も言っていないのに何に気付いたか分かったようで頷き答える。
「お考えの通り畑は無くなっているでしょうな」
陣が疑問に思ったことはまさにそれだった。
「・・・そっか・・・畑無くなっちゃったんだ・・・」
そう落ち込むキャシー。
畑が無くなった事、妹のように思っているキャシーが悲しんでいる姿も見て陣は生まれて初めてキレた。
「・・・リン・・・畑は?」
『ゼルベルトの言葉通り無くなっています。そこまで気が回らず申し訳ありませんでした』
「・・・いやいいよ・・・悪いのはクソドラゴンだ・・・」
そう低い声で伝える陣。
それによりゼルベルトは陣が怒った事に感づき恐怖した。ゼルベルトは伝説の暗殺者だ。リンと戦った時ですらさほどの恐怖は抱かなかった。死への恐怖すら無いゼルベルトが陣が怒ったことでそれが自身に向けられていないにも関わらず恐怖した。
「・・・リン・・・死なない程度に攻撃し捕えろ」
『是。かしこまりましたマスター』
ゼルベルトの恐怖。それは真の世界最強たる陣が初めて攻撃を意識したからかもしれない。
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