第15話 久々のスキル取得

バーベキューの翌日の昼。いつも通りに遅く起きた陣。


「ふわぁ~・・・おはようリン・・・」

『おはようございますマスター』


そうしていつも通りリビングに行こうとしたら陣は思い出した。


「ああ、そうか・・・もうこの家は俺だけの家じゃないのか・・・ちなみに2人ってもう起きてる?」

『是。数時間前より起きております。現在ゼルベルトはネットを使いキャシーはテレビでアニメを見ております』

「・・・順応速いな・・・あの2人・・・」


そう思いながらもパジャマから着替えてリビングに行く陣。するとリンの報告通りリビングにてそれぞれでくつろいでいる2人。


「あ!お兄ちゃんおはよう!このパチモン面白いね!」

「陣様おはようございます。ずいぶん遅いですな?」


リビングではキャシーは世界的大ヒット長寿アニメのパッチモンスター略してパチモンを見ていた。


「ああ、俺はいつもこんな感じなんだよ。ゼル爺はなにやってるの?」


そう言って陣はゼルベルトがネットで何をしているのかを聞いた。


「ああ、そうでした。このネットというやつはすごいですな?どのような事柄でもこのようにして一瞬にして分かってしまうとは・・・陣様の世界は便利な世の中ですな~・・・」


ゼルベルトはネットをいじっていただけで何かを調べていたというわけではないらしい。


ちなみに陣は2人には異世界から来たことは伝えてある。通常ならばそのようなことは魔法のあるこの世界でもそう簡単には信じられないことだが、この家の家電類を見れば信じざる負えなかった。


そうしてこれから昼食を食べようとした陣だったがそれは執事の役目としてゼルベルトが作ることに。


「あむあむ・・・やっぱりゼル爺の料理って上手いよな・・・」

「おいしい!お爺ちゃん!」

「ありがとうございます陣様。ありがとうキャシー」


ちなみにゼルベルトの料理が上手いのは上位ランク家事スキルを所持しているため。なので執事としてもレベルの高いゼルベルト。


昼食も食べ終わった3人。


「ねえ?お兄ちゃん?これからなにするの?」

「ん?・・・なにしようか?・・・」


1人の時はゲームしたり漫画を読んだりアニメやテレビを見たりしていた陣。


「じゃあ「農業などはいかがでしょうか?」って農業?」


ゲームやおすすめのアニメでも教えてあげようと思っていた陣。ゼルベルトからの予想外の提案に首を傾げる。


「なんで農業?」


キャシーやゼルベルトという同居人が出来たとはいえ基本的には外に出たくない陣。さらにはこの家では食料は自動で補充されている。故に農業をする必要が無い。


「・・・陣様は引きこもりたいとおっしゃられておりましたな?」

「・・・うん・・・まあ・・・」


人から引きこもりたいという己の願望を言われればなんとなく気まずくなる陣。


「・・・あくまで我々は陣様にお世話になっている身ですし、会って間もない私が言うべきことではないですが・・・少しは外に出るべきではないかと・・・いつか外に出る事が恐怖となるかもしれません・・・」


そこまで言われ陣の心は若干揺らぐ。陣が引きこもりたいと感じたのは前世での超ブラック企業による寝る間を惜しんでの労働を二度とやりたくないという、前世からの反発からきている。


故にここ異世界にやって来て会社からは確実に解放された今、リンの範囲内ならば出てもいいのでは?と思い直してきた。


「・・・お兄ちゃん!バーベキュー楽しかったね!」


そこで今まで話を聞いていただけのキャシーが昨日のバーベキューの事を言った。


「・・・そうだな・・・バーベキュー・・・楽しかったもんな・・・」


そのリンの言葉により陣は自身が意固地になっていただけであの会社からの解放が果たされた今引きこもりを絶対と決める必要はない。


「・・・やりたいことをやっていいんだもんな・・・・・・やるか農業・・・」

「うん!やろう!農業!」

「ほっほっほ・・・では外へ参りましょうか」


そう言ってリンのすぐそばを農地として開墾の開始。この時に役に立ったのがやはりゼルベルト。上位ランクの農業スキルを持っているようだ。


「ほっ!よっ!」

「ほう?なかなかの手際。陣様は経験がおありですかな?」

「うん。子供の頃は皆でやったよ」

「おじいちゃーん!これでいいの?」

「どれどれ・・・」


ゼルベルトが孫のキャシーにやり方を教えている。その背中は決して"死の運び人"として恐れられた伝説の暗殺者とは思えない。


「・・・こうやって土をいじるのも中々いいもんだな~・・・」


感慨にふける陣。すると久しぶりのあの音が。


ピコン♪


【農業スキル(下位)を会得しました】


「お?スキルが手に入った?」

「ずいぶん早いですな?農業の才能があるのでは?」

「ハハハ。じゃあ農家として生きていくのもありかな?」

「お兄ちゃんいいなぁ~・・・よーし!私も頑張る!」


_______

-紅林陣-

年齢:17歳

性別:男性

種族:人間

スキル:家(至高)・絵画(下位)・農業(下位)new

称号:異界者・限界を迎えし者

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