瀬をはやみ・カルマを背負う女

しおとれもん

第1話カルマを背負う女プロローグ


僕は恒子が死んでから29年後に死んだ。


「また逢えたね、待っていたわヤッくん。」


僕の生涯は、あの恒子と、同窓会に43年振りに奇跡の再会をして、帰りに立ち寄った湊川公園での会話が集大成だったと言っても過言では無い。

僕と恒子は金輪際に座って足をブラブラさせながら余裕で生前の思い出を語っていた。

背後で人の気配がするので振り返ると、先週ショッキングなニュースに出ていたアリスのチンペイさんが、立って居た。

ここが何処か分からないというチンペイさんに詳しく教えてあげたら、「べーやんとキンちゃんを宜しく。」と言い残して立ち去った。


しばらくして恒子との会話であの湊川公園での恒子の言動が判明してきたら恒子の人生も見えてきて、衝撃の事件は

衝撃なりに、僕にもアッパーを食らわし続けていたが、「瀬をはやみいわにせかるる滝川のわれても末に逢わんとぞおもふ」

百人一首の通りに43年ぶりに再会を果たした僕と恒子は、嘗ての想い出を拾いに初デートに待ち合わせをした湊川公園に脚を踏み入れた。

「あのね・・・」何かを打ち明けようとする恒子はこの期も核心まで近付くが言えず。

恒子が消えたあの日以来、レビューが細切れに為った新年に恒子の母、和美から届いた真実の告白に僕は驚愕した!

恒子の性的被害は、身内から出たものだった!


前述の通り恒子が死んでから29年後に僕は死んだ。

八束孝(やつかたかし)享年89。

山瀬恒子(やませつねこ)享年60。

「とうとう来たのね。」

「待たせたね。」


両膝下の脛骨はブラブラと、当てもなく動かしている孝の覗き見る景色は下界の地獄界と現世界だった。

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