叔母のそらに

@hiesho-samui

第1話

 急遽、実家に戻るため私は電車に乗ることになった。予定してなかった帰省のためお金がない。仕方なく、鈍行列車で帰る。

 鈍行列車なんてこの前乗った夜行バスに比べたら余裕だ。狭い座席で無理やり寝ないといけない訳ではないし、8時間以上乗らないといけないわけではない。まぁそんなことは、当たり前か。

 私にもっとお金に余裕があれば、特急列車に乗りたい。特急列車の椅子は鈍行列車に比べて柔らかいし、席の幅も広い。

 特急列車への気持ちは捨てきれないが、鈍行列車も好きだ。

 鈍行列車のいい所は特急電車に比べて、時間帯によって風景が変わるところだ。時間帯によって乗る人が変わる。自分の存在している時間帯が分かるのは少し安心感が得られる。朝は出勤や通学をする人たちが乗っている。眠そうな顔の人が大半だ。週の終わり頃は目が死んでいる人が多くなる気がする。朝早くから電車に乗り通学、通勤している人は本当にすごいと思う。

 昼は朝に比べて人の数が落ち着いている気がする。1番座れる時間帯だと思う。休日は人が遊びに来る街に向かう電車は混んでいるが、朝のラッシュに比べたら足元にも及ばない。

 夜は夜で、帰っていく人がたくさん乗ってくる。疲れてるはずなのに席に座れず、立っている人も多い。また、朝と違って服装がよれている気がする。また、遊園地の閉園、大型コンサート、お祭りの終わりの電車は悲惨だ。

 そして、深夜はアルコールの臭いがしたり、夏は汗臭い。1番シラフで乗ると辛い時間帯かも知れない。そして、寝ている人が夜より多い。お酒を飲んでいる分声も大きい。ときどき口説き中の人を見かけたりもする。深夜で言うと終電の時間はさらにベロベロの人だったり走って乗り込んで来る人もいたりする。朝の電車より急いでいる人が多い気がする。線路によっては終電が1番混んでる。深夜の満員電車は臭いとかも考えると1番キツいかもしれない。

 仕事がある日は憂鬱でできれば電車に乗りたくもないけど、時期や時間を体感できるので好きだ。

 電車に乗っている私は、公共交通機関に乗る時のルールを1つ課している。それは『民度高く』だ。

 人があまりおらず、空いている時は堂々と乗るけど、混む場合は1人分の空間に全てが収まるように荷物と私を詰めて座る。狭いなぁとは思うが苦ではない。それよりも「あの人、1人で2人分の座席を使っているわ……」と赤の他人に思われる方が嫌だ。そんなことを思われてもその人とは二度と会わないのは分かっているが、他人の目が痛い。だから、今日もぎゅっと1人分の座席に詰め込み座っている。

 狭い中でも私が少しでも快適に過ごすために1つ気をつけているのは、ボックスや2人掛けの席に座る際は窓側に座る。隣の人の降りるタイミングを気にしたくないからだ。寝たいし。ぼーっとしたい。

 寝たい時はなおさら、通路側には座りたくない。頭の支えを自分で作らないといけないからだ。基本的に電車に乗る時の姿勢は自分のかばんを腕で抱え込み前に体重をかけるように寝るかもしくは窓か壁に体重をかけて寝る。長椅子バージョンのときはできる限り端に座る。ときどき、端の席の区切りが鉄格子だけの場合がある。そのときは立って持たれてくる人がはみ出してくるから気をつけなければならない。

 実家に帰る電車も同じだ窓側の席にぎゅっと詰めて座る。

 実家までは遠い。長時間座っていなければならない。寝る以外の私の電車での過ごし方は、窓の外をぼーっと見ながら、音楽をかけ過ごす。他人と同じ空間に居たとしても、イヤホンをつけ、私の好きな音楽をかければプライベート空間のできあがりである。

 音楽をかけながらぼーっとするなんて、なんて贅沢なんだ。とか思いつつ、眠りの体勢に入った。

 寝る体勢に入ると隣の席が埋まるのはなんでだろう。駅に着く度に隣の人が入れ替わることだってある。

 今日だって、寝る体制なったらすぐに隣の席が埋まった。マナーの悪い人以外、私の隣の席はウェルカムだ。別に私は嫌な気はしない。あと、公共交通機関だし。

 寝て過ごす私に電車の中での過ごし方に悩みができ始めた。それは、鈍行列車に乗って寝ることができなくなったことだ。どこでも寝れるというのは若者の特権なんだろうな。寝るのにも体力がいるって言うのを実感する。

 ウトウトはするけど、爆睡までできない。疲れているのに寝れないみたいな感じだ。電車の中なんて寝れてなんぼなのに。次こそは寝る。絶対。次の駅についても寝れず、その次の駅に着いても寝れない。だから、音楽を聞きながらぼーっとする。最近は、ラジオを聞き始めた。飽きずにずっと聞くことができるので長距離移動には重宝している。

 

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