12/22

お茶を淹れに給湯室に行ったら、部長とMちゃんが何やらにぎやかにしていた。

どなたかの手土産をあけていたらしい。でもおかしなことに、部長は個包装を取った白くて薄い板状のお菓子をMちゃんに手渡している。Mちゃんは受け取るなり少し鼻を近づけて「りんごですね」と言った。部長は「正解!」と喜ぶ。

なんのことかと思ったら、フレーバーを当てる遊びだった。白いお菓子は砂糖と卵白とミルクを使った焼き菓子で、洋菓子の焼きメレンゲよりもきめ細かく硬いものだ。どれも色はほとんど同じだけれど果汁で味をつけているのだそう。

私はりんごレモンとをいただいたけれど、食べるまえにはかすかな香りしか感じなかった。味は、確かにそれぞれのフルーツだった。とはいえかなりお上品というか、ほのかなものだ。Mちゃんの鼻はいったいどうなっているんだ……?

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る