推し

第1話バイバイ。

全てがどうでも良くなった。もう何もしたくない。どうしたらいいの。学校も行かないことにした。朝起きてからずーっとTwitterを眺めてる。あ、新規フォローがきてた。十二時間前、、気づかなかった。ごめんねフォロワーさん。フォローしてくれてありがとう。プロフィール開いてみたら、すごい可愛い子からフォロー来てたの。嬉しい。可愛い子は目の保養。目が癒される。世の中可愛い子がいっぱい。わたしなんて、全然だもん。落ち込むけれど、それと共に気分も上がる。だってこんな可愛い子がわたしのことを見つけてくれたんだもの。気分上がっちゃうもんね。朝からラッキー。お、推しのTwitterも更新されてる。推しのはなるべく通知がきたらすぐにいいね押したいんだけど朝は無理。だって眠いんだもん。わたしの推しはミュージシャン。顔も喋り方も声のトーンもすごく好き。この間新宿の地下ライブでやってた秋分ロック、あれサイコーだったね。推しを生で感じられて汗も色気が増してて、いやらしくて、匂いも汗臭くて、なんであんなにエロいんだろうね？もう大興奮。それもあってか今日は燃え尽き症候群。何もやる気しない。メールも返してない。どうしよう。まあ、いいや。整理しよう。もう何ヶ月も連絡をとっていない人は削除しちゃう。バイバイ。リアルフレンドよりもネットの可愛い子たちを眺めよう。相互フォローの冬月ちゃん。可愛い。顔写真投稿してたからコメントしよう。「冬ちゃんいつもかあいいね、生きててえらいね」

すぐにいいねきた。やった。いいねは精神安定剤。推しは神様。

わたしも写真投稿しよう。フォロワーよ、わたしにいいねをくれ。

すぐにコメントきた。「なにこの天使」前歯ちゃんがコメントくれた！「イエーイ」って返したら速攻いいねくれた。みんなありがとうね。これから薬飲むよ。昨日もODした。リャクちゃんの投稿を見ると影響される。わたしってすぐ影響されちゃうから。リャクちゃんが昨日深夜三時過ぎに「ODした　ここから飛び降りれるといいね」って投稿してるのみてわたしもODした。

いつか飛び立てる日が来るのだろうか。

この胸糞悪い世界から抜け出せる日が来るのだろうか。

胸糞の悪い現実を目の当たりにし、夢を抱ける余裕はありません。

わたしは病んでなんかいません。ただただこの世界が、ニュースが嫌いなだけです。そっとしといてください。