アンドロメダ病原体〜ジュラシック・パークとの比較〜

 今回はマイクル・クライトンの『アンドロメダ病原体』です。『ジュラシック・パーク』を読んで著者の他の作品も読もうと思いました。やはり、発見がありました。これについては後ほど書きます。


 本書の冒頭は「軍の衛星が落下した直後に小さな町でほとんどの人が死んだ」というところから始まります。色々な原因が考えられましたが、「宇宙からやって来た未知の病原体が原因に違いない」と考え、様々な分野のエキスパートが謎の病原体について調べる、というのが大筋です。


 本書を読むと、まるで実際に起きた事件かのように錯覚します。それくらいリアルです。臨場感があり、新型コロナが現れたころも、このような対応があったのでは? と考えられずにはいられません。


 せっかく同じ著者の本を読んだのだから、何か発見がないかなと読んでいたら気づきました。『ジュラシック・パーク』もそうでしたが、リアルと虚構がうまい具合に混ざっているのです。

 『ジュラシック・パーク』では冒頭で「ワトソンとクリックのDNA発見」、「遺伝子工学の発展」について事実に基づいて書かれています。その中に恐竜を蘇らせた「InGen社」の事件――つまり虚構――を織り交ぜてさも現実の事件のように錯覚させます。


 本書も同じ手法が用いられています。前半部分では登場人物を紹介しつつ、その人物がどのような功績の持ち主なのかを現実の科学の発展を織り交ぜてリアル感を演出しています。


 似通った点がある一方で、真逆の箇所もあります。

 『ジュラシック・パーク』が恐竜の暴走によるパニックの面が書かれるのに対して、本書ではあえて淡々と書くことで実際に起きた出来事の記録であることを強調しているのです。


 同じ著者の作品でも共通点があれば真逆な点もあるわけです。みなさんもお気に入りの著者の他の作品を読んではいかがでしょうか。新たな気づきがあるかもしれません。


 今回はこの辺で。

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