第18話 お泊まり 後編
「んちゅ……ちゅっ……♡」
マオが乱入してきた浴室には、小鳥のさえずりのような音が木霊していた。
それは湯船の中で繰り広げられている、マオとのキスの音だった。
乳白色のお湯の中で抱きつかれながら、愛斗はマオによる寵愛を受けている。なんでこんなにもイイコトをしてくれるのかは相変わらず分からない。けれども男としては満たされている。その事実だけあれば充分じゃないか、と最近は思い始めている。
「ま、マオさん……おっぱい吸ってもいいですか?」
唇を離しながら尋ねると、マオはニヤッと笑いながら、
「……おっぱい吸いたいの?w」
「は、はい……」
「しょーがないなぁw ほい、じゃあどーぞ♡」
ツンと上向いたハリのあるおっぱいが、水面からまろび出る。愛斗は一も二もなくその綺麗な乳首に吸い付いた。
校内の男子がもしこの光景を見たら血涙不可避だろう。それくらい恵まれている自分が、時々怖くなってしまう。
「マーくんはおっぱい好きだね~w よちよち~w」
そんな風にからかわれても、愛斗はおっぱいに夢中なので気にしない。
「にしても、遙香もまさかあたしとマーくんがこういう仲だとは思いもしないだろうねw」
「ちゅぱ……ぷは、でしょうね……」
「うん。遙香はいっつもマーくんのことバカにしてるし、こういうところで出し抜いてもバチは当たらないはずw 思う存分ちゅーちゅーしてね♡」
「は、はい……」
言われるがまま、おっぱいを吸い続ける。何も出ないが、こうしていると落ち着く。男はおっぱいには勝てないのだ。
そんな戯れのあとは、身体を洗ってもらうサービスを受けた。とある部位を念入りに洗われる。その部位がどこなのかはご想像にお任せするとして、愛斗は非常にスッキリした気分でお風呂を上がることになった。
それから――
「(へへ……これマーくんがやったってバレたらヤバいねw)」
「(殺されますよ……)」
寝ている遙香の部屋にそっと足を踏み入れた愛斗は、無防備にいびきを掻く姉の、ホットパンツから伸びる太ももに「正」の字を幾つか油性マジックで書いていた。
マオに促されての、日頃のちょっとした仕返しである。家事炊事を押し付けられ、悪態もつかれまくっているのだから、たまにはこういうのもアリではと思う。
「(これ、あたしがやったことにしといてあげるから、どうせならおでこに『肉』も書いちゃおうよw)」
言われるがまま、遙香のおでこに『肉』と記した。愛斗の意思でほっぺにグルグル巻きの模様も書いて、トドメとばかりにまぶたに目も描いたところで、2人は思わず吹き出してしまった。
「んぐぅ……」
すると遙香が少し呻いてしまったので、2人は一旦廊下に避難し、それから改めて笑った。愛斗1人ではこんなことは出来ないものの、マオが居るだけで出来てしまうし、楽しい。
「ねえねえマーくん、最後にもっとハラハラすること一緒にやらない?w」
笑いの波が引いたところで、マオがそんなことを言ってくる。
「そ、それってなんですか……?」
「あのね、コレを、使ってやることw」
そう言って渡されたのは――いわゆるゴムだった。
愛斗は混乱してしまう。
「――え……?」
「ヤろうよw」
「へ?」
「遙香の横で、ヤってみない?w」
「!?」
「マーくん初めてだよね? あたしも初めてだから、すごい思い出になると思うんだけど、どうかな?w」
常軌を逸した提案だった。
しかし……今日までマオに毒されてきた愛斗は、混乱しつつもゴクリと喉を鳴らし、男の本能を高ぶらせ、
「い、いいんですか……?」
と乗り気になった。
「いいよ~w 忘れられない青春の思い出――作っちゃお?♡」
とのことで。
ゆえにこのあと、愛斗はスリル満点の姉の部屋にて――マオと一緒にひと皮剥けたのである。
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