メガネをかけ、友人を見る

「ぜぇ、ぜぇ、ぜぇ!」

 

あれから学校の教室まで走ったけど、めっっっちゃ疲れた!日頃の運動不足のせいかな?

 

「大丈夫かい?」

 

「あ?・・・・あぁ、お前か。おう、大丈夫だ。」

 

「そうかい。それはよかった。」

 

相変わらずかっこいいお顔ですこと。

 

こいつは、黒崎瑠衣。演劇部に所属していて演劇では、千の化身と呼ばれるほど多彩だ。頭も良い。そして、私の同学年で3人いる友達の一人だ。

 

はいそこ。お前は友達と思っていても、相手は友達と思っていない、とか言うのやめろ。泣くぞ!

 

「そんな1人で百面相なんかしてどうしたんだい?」

 

「何でもねぇよ。ちょっと考え事をしていただけだ。」

 

「ふぅん、そうかい。」

 

考え事をしてたら思った事だけど、

 

俺、いつこいつと知り合ったんだ?

 

少なくとも2年は一緒だな。・・・・なんか嫌な予感がするけど、聞いて見るか。

 

「なぁ、話は変わるんだがちょっと聞いて良いか?」

 

「うん。何でも聞いて良いよ。」

 

良い笑顔だこと。やっぱファンクラブがあるだけのことはあるな。

 

「俺達って、いつ知り合ったっけ?」

 

すると思って瑠衣の表情が見えなくなった。

 

「どうした?」

 

「いつからだ。私の黒魔術の効果が切れたのか?いや、ないはずだ。私の黒魔術が人間に解かれるだと?あってはならない。あってはいけない!!」

 

「おーい、何ぶつぶつ言ってんだ?」

 

「っ!?いや、特に何でもない。」

 

大丈夫か?なんか、汗かいてるけど。と言うかこいつが汗をかいているのを初めて見たな。

 

「とっ、ところで、私からも一ついいか?」

 

「ん?何だ?」

 

「そのポッケに何が入っているんだ?」

 

お前も気になるのかよ。

 

「何って、ただのメガネだよ。」

 

ポッケから取り出し、瑠衣に見せた。

 

「成程、伊達メガネか。」

 

「おっ、正解。」

 

やっぱこいつ頭いいな。

 

「写真撮ってあげるからかけてみてよ。」

 

「えぇ、まじ?」

 

「うん大マジ。」

 

流石に、今日2回目はないだろう。うん。きっとそうだ。

 

そしてメガネをかけ、瑠衣を見た。

 

そこには、貌の無く、触手が至る所から生えている、その姿はなぜか、人間を嘲笑しているようにも見えた。

 

名前は・・・・ニャルラトホテプ

俺の周りはどうしてこんな奴等ばっかなんだよ。精神削れていくって。

 

というか、あいつの見た目、なんか数秒に一回のペースで変化していっているんだけど。

 

その変化の多さを見ていたら

 

 

カシャ

 

写真を撮られた音で現実に戻った。

 

「間抜けな顔をしていたから、撮っちゃったよ。」

 

「間抜けな顔をしてなくても撮っていただろう。」

 

「まあね。」

 

ところで、俺のクラスは大丈夫だよな。

 

辺りを見渡したが、特に変化はなかった。

 

 

しかし、校長室と保健室、職員室に異色なオーラが漂っていた。

 

あ、これまずい奴だ。

 

そう確信した。

 

メガネを外して、元の席に座った。

 

 

瞬間、吐き気が一気に来た。

 

「うっ。」

 

「どうしたんだい?」

 

「ちょっと、トイレで吐いてくる。」

 

瑠衣は行ってらっしゃいって言いながら手を振っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それにしても間抜けな顔も可愛かったなぁ。」

 

健二の写真を見ながら、恍惚した笑みを浮かべていた。

 

「彼の全てが欲しいなぁ。」

 

それには、まず私の天敵である、健二の妹と、あのいつも、健二にべったりとくっ付いてる駄犬を殺さなければ。殺した所を見られても記憶を変えれば大丈夫だろう。

 

「それにしても」

 

あのメガネ、なんかおかしいな。私のことを見透かされているような感覚だったが。

 

特に気にしなくてもいいか。

 

「これで、健二の写真が1568枚だ。」

 

なぁ、健二。私に、健二の全てを見せてくれよ。

 

無貌の神は嗤う。邪魔なモノを全て消そうと企みながら、顔には恍惚した笑みを浮かべていた。

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