本当の姿を見れるメガネをかけたら、関わっていた人達が人間じゃなく病んでいた件

かいさんたらこ

メガネをかけ、妹を見る

「人の本当の姿が見えるメガネ?」

 

いつもと同じ帰り道を通っていると道端の露店のようなところの婆さんに声をかけられた。

 

「そうじゃ。」

 

この婆さんは何を言っているんだ?

 

「本当の姿もなにも、人間の姿が本当の姿だろ?」

 

自分でも何言ってんだ?

 

「そのほかにもいるのじゃよ。狐が化けていたり、はたまたわしらで言うところの神様や神話生物とかもいるのじゃよ。」

 

にわかに信じがたいな。

 

「その他にも、その化けている生物の名前まで見ることができるんだよ。」

 

そんな事言われたら、少年心がくすぐられるじゃないか。

 

「分かった、買おう。何円だ?」

 

「1000円じゃよ。」

 

メガネにしたら安いな。

 

「ほらよ。」

 

財布から1000円を出して婆さんに差し出した。

 

「くっくっくっ毎度あり。」

 

婆さんから例のメガネを受け取った。

 

 

 

 

 

 

 

 

そして家に帰り早速つけてみた。

 

「これ度が入ってないな。」

 

いわゆる伊達メガネか。

 

「つけてみても変わりはないか。」

 

いやまぁ誰もいないしな。

 

『お兄ちゃん!ご飯できたよ!』

 

「あぁ、分かった!すぐ行く。」

 

おっと、うちの家の関係を話してなかったな。

 

まずはこの俺!佐藤健二。普通の高校生だ。それから、妹の佐藤火燐。とても可愛くて家での癒し枠だ。父さんと母さんは二人とも旅行に行ってる。1年ぐらいの長旅らしい。(とても羨ましい)

 

それじゃあ、我が妹の作ってくれた料理を食べに行くか。

 

一応、メガネも持っていくか。

 

部屋の扉を開けて階段を降り居間に向かった。

 

ガチャ ギィ

 

「あっ!お兄ちゃん!早く食べよ!」

 

「分かった。」

 

いつもながら可愛い。・・・・あれ?

 

「どうした?指に絆創膏貼っているけど?」

 

「あぁ、それはちょっと包丁で切っちゃっただけだから。」

 

少し心配だな。

 

「それじゃ食べようか。」

 

「うん!」

 

いやぁ、妹の手料理は美味い!なんかちょっと鉄の味がするような。まぁいいか!

 

「「ご馳走様でした」」

 

「それじゃあ、洗ってるから休んで良いよ。」

 

「あぁ、ありがとな。」

 

手伝いたいけど、何故か手伝わせてくれないんだよなぁ。

 

・・・・そういえば、あのメガネつけて見るか。

 

ポッケに入れていたメガネを取り出し、メガネをつけて、妹のことを見た。

 

「は?」

 

小さな声で呟いた。

 

そこには、いつも可愛い妹の姿はなく、太陽のような物に足?のようなものが生えていた。

 

名前は・・・・クトゥグア

 

嘘じゃねぇよな。

 

一回メガネを外してみた。するといつもの可愛い妹がいた。

 

それでもう一回かけてみればさっきの化け物のような姿があった。

 

「俺、風呂に入ってくる。」

 

「ん?今日は早いね。」

 

「あぁ、ちょっと眠くてな。」

 

「分かった!お風呂は沸いてるから入ってきて良いよ!」

 

「いつもありがとな」

 

「これぐらいならお安い御用だよ!」

 

その言葉を背に風呂場に歩き出した。

 

 

 

 

 

 

 

湯船に浸かって色々考えてみた。

 

「あの姿はなんだったんだ?この世の生物とは思えないような、見てるだけで精神が削れていくような絵をしていたな。」

 

あの婆さんが言っているのが本当だった場合、妹の本当の姿はあの生物ということになる。でもいつからだ?

 

考えてみても答えがわからなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方その頃

 

 

「ふふ〜ん。お兄ちゃんの料理に血を入れたの気づいてくれたかな〜。」

 

部屋のベッドに転がりながら少女が呟いていた。

 

「それとお兄ちゃん、なんか私を怖がっている風だったけど、どうしてなんだろう?」

 

「まさか、私の本当の姿がバレたとかかな?そうだった場合、記憶を少し消しちゃわないといけないな。そしたら、私とは兄妹ではなくて、婚約を誓った同士…許嫁とかがいいかな?」

 

化け物は笑った。兄に歪んだ愛をぶつけ、狂気的な笑みを浮かべながら、全身に火を纏っていた。

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