獣たちの迷宮

第9話セカンドシート紙片

离城は一条の离江によって「河東」と「河西」に分割されている。

河東は古い街区で、歩行者天国、名門校、体育館、博物館、大型ショッピングモール、金融センターなどがある。一方で河西は新しく開発された観光地で、近年急速に発展し、不動産価格は河東に追いついている。

离城は合計9つの地区に分けられ、高陽と青灵は河東の第5区、山青区に住んでいる。

「青扬大橋」は离城の初めての近代的な大橋で、河東の山青区と河西の飛扬区を繋いでいる。

この橋は数十年の歴史を持ち、後に建設された橋に比べると老朽化が進んでおり、あまり利用されていない。しかし、深夜12時を過ぎると、料金所を避けるために大型トラックが多くなる。

深夜、高陽と青灵は東側の橋の下に来た。上を通るトラックが轟音を立てて橋を渡るたびに、その音は耳をつんざくようだった。

高陽は橋が崩れるのではないかと心配していた。

青灵は河岸に腰を下ろし、何かを集中して探していた。

最初の紙片の内容は次の通りだった。

――青扬大橋東側の橋の下で、あなたの[金属]能力を使い、何かを探す。

すぐに、青灵は目を開けて「見つけた。あれがそれだろう」と言った。

高陽は何が見つかったのか、どこにあるのか聞きたかったが、それを聞くのは愚かに思えたので、ただ黙って立っていた。

青灵は河岸を降りて、江の水面に向かって両手を伸ばし、しばらくすると顔をしかめた。

「どうした？」と高陽が尋ねた。

「距離が遠い。ちょっと抱きしめてくれない？」

「どうやって抱けばいいの？」

「『タイタニック』見たことある？あのポスターのように。」

「わかった！」

高陽は急いで青灵の細い腰を後ろから抱きしめた。川風が吹き抜け、彼女の髪の香りが漂ってきた。それはまるで花の中を歩いているような香りだった。

抱きしめた女の子が前に倒れ、手を川面に向かってさらに約1メートル伸ばした。高陽は考える間もなく、力を込めて青灵を抱きしめた。

水面に波紋が現れ、次第に激しくなっていった。

「わっしゃー！」

長方形の鉄箱が水面から現れ、空中に浮かんだ。

青灵は歯を食いしばりながら両手を引き、重い鉄箱が彼らに向かって飛んできた。

高陽は全身を張って引っ張り、青灵の重みが突然消えたとき、彼はすぐに反応できず、彼女と一緒に後ろに倒れた。

青灵はすぐに高陽の上から起き上がらず、彼の胸の上に横たわって大きく息を吸っていた。

高陽も急ぐことはなかった。美女に押し潰される感覚は悪くなかった。

「金属の天賦って強いはずじゃないの？なんで使いこなせていないの？」と高陽は慎重に言葉を選んだ。「平凡な感じがするけど。」

「天賦を得てまだ日が浅く、レベルが低いのよ。」

青灵は立ち上がり、「私が金属を感知できる最大距離は20メートル、コントロールできる最大距離は10メートル、最大重量は10キロ。さっきの物はその範囲を超えていた」と説明した。

高陽は心の中でメモを取った：天賦が強くても、レベルが低ければ、高レベルの弱い天賦に劣るかもしれない。

青灵は鉄箱の前に行き、短剣を取り出して、厚い防水テープを切り開き、慎重に箱を開けた。

高陽が近づいて見ると、驚いた。

鉄箱の中には、分解された状態の黒い狙撃銃がきれいに収められていた。月光の下で、これらの冷たい黒い塗装の金属部品は、危険でセクシーな輝きを放っていた。

システムの声がタイミングよく頭の中に響いた。

[知らない物体を観察するために1ポイントの幸運点を消費しますか？]

――観察。

[M82A1型セミオートマチック対物ライフル、12.7ミリ弾薬、マガジン容量10発、有効射程1800メートル、銃身重量14kg]

高陽の心は沈んだ：殺人が起きるようだ。

黄警官でさえ、このような狙撃銃を短期間で手に入れることはできないだろう。彼は長い間準備していて、ここに隠して、機会を待っていたに違いない。

青灵は狙撃銃をじっと見つめ、少し考えた。

彼女は鉄箱からバックパックを取り出し、鉄箱にかぶせ、高陽に一瞥を投げかけた。「背負って。」

高陽は急いで行き、重たい黒いバックパックを拾い上げ、肩に担ぎました。

青灵は二枚目の紙を開き、しばらく何も言わなかった。

「どうしたの？」高陽が尋ねた。

「ホテルはどこ？」青灵が尋ねた。

......

荷物を背負っていたため、二人は徒歩で行くしかなく、ピンクのホテルに着くのに1時間かかった。それはラブホテルで、ピンクのネオンライトが二人の顔にちらちらと映り、地面には官能的な小さなカードが至る所に散らばっていた。

「本当に？」高陽は唾を飲み込んで、「ここ？」

「自分で見て。」青灵は二枚目の紙を高陽に渡した：

——ピンクのホテルへ。5階南向きの部屋。6時になったら、三枚目の紙を開け。

高陽と青灵はホテルに入った。

フロントは太った男で、27、8歳くらいで、jojoのキャラクターが描かれたTシャツを着ていた。彼の髪は薄く、顔は油で光っていた。彼は携帯ゲームに夢中で、「倍増鏡、誰かいる？ねぇ、助けて！あと少し、危うく……」

高陽は周りを見回した：不思議だ、こんなラブホテルのフロントは普通、きれいな女の子がいるはずだろ？

「咳咳、」高陽は咳を二回した：「部屋を取りたいです。」

太った男は高陽を一瞥し、「お一人ですか？」

「二人です。」

太った男は携帯を置いて、高陽の後ろにいる青灵に目をやった。彼の目はすぐに輝いた。「おお！兄貴……今夜は大サービスだ！」

高陽はとても気まずかった。「5階、窓が南向きの部屋はありますか？」

太った男のいやらしい笑顔には、羨望が見えた。「探してみますね……あ、ラッキー、最後の一部屋が残っている——『鏡花水月』！」

「何ですか？」高陽はすぐには理解できなかった。

「部屋の名前ですよ。」太った男はニヤニヤして、「自動水ベッド、ラブチェア、鴛鴦風呂、天井の鏡、極上の体験を……」

「いいです、その部屋で。」高陽は顔を真っ赤にして、携帯で支払いをしようとした。

「了解です、身分証をお見せください。」

高陽は固まった。彼はそれを忘れていた。

彼は青灵を一瞥し、青灵は首を振った。

「兄貴、それじゃあダメですよ。」太った男は困った顔で、「どうしてもダメなら、屋外の場所を紹介しましょうか？刺激的で保証しますよ……」

青灵は無表情で、振り返って歩き去った。

高陽は彼女が怒ったと思い、急いで追いかけた。

外に出ると、青灵が誰かを捕まえているのを見つけた。

高陽は驚いた。「……王子凱？」

ネットカフェから出てきたばかりの王子凱は、車を取りに行こうとしていたが、二歩も歩かずに誰かに捕まり、振り返ると、同じクラスの青灵だった。

そして、高陽も近づいてきた。

王子凱は驚いた。「高陽、お前たち、なんでここにいるの？」

「身分証持ってる？」青灵は早速切り出した。「貸してくれない？」

王子凱は青灵と高陽を見て、また彼らの後ろのラブホテルを見た。「お前たち……部屋を取るの？」

高陽は頷いた。

王子凱はその場でショックを受け、大げさに後ずさりした。「なんだって！あぁ、まじか……」

彼はいつも下ネタを言っていたが、実はまだ独身だった。しかし、彼はいつも、親友の高陽も同じだと思っていた。彼は高陽をよく李薇薇と「くっつけ」ようとしたが、高陽が本当に独身を卒業するとは思っていなかった。

そして今、高陽は独身を卒業しようとしているだけでなく、今夜は童貞も卒業するようだ！

王子凱はショックを受けた。

「高陽！お前の幼なじみの李薇薇はまだ死んで何日だ？七日祭りもまだ……お前、それでいいのか？それでいいのか！お前は獣だ！」

青灵はイライラして、王子凱のポケットを探し始めた。「身分証を出せ。」

「ちょっと……」王子凱は青灵がこんなに積極的だと、さらに受け入れられなかった。「青灵、お前はレズじゃないの？どうして男と……？」

「高陽が何がいいんだ！俺を考えてくれよ！俺は金持ちだし、イケメンだし、ロマンチックだ……俺は高陽よりいいだろ！」

「お前には脳がない。」青灵は王子凱のポケットから身分証を取り出し、高陽を引っ張ってホテルに戻った。二人はフロントで無事に登録し、エレベーターに乗り込んだ。

王子凱はその場に固まり、ずっと呆然としていた。彼はどんどん怒ってきた：なぜだ？なぜ高陽が自分より先に彼女ができるのか？

彼は直接フロントに駆け寄った。「おい、彼らはどの部屋にいるんだ？！」

「すみません、それはお客様のプライバシーです……」

王子凱は胖子の髪を掴んで、「バン」と机に叩きつけた。「もう一言言ったら、お前のプライベートな部分をなくすぞ！わかるか？」

「501！501！」

「俺にも部屋を開け、601！」

「はいはい……すぐに開けます！」