第8話 内容証明郵便
玄関のドアフォンが鳴る。
この家に来訪者はめずらしい。
翡翠は玄関に立つ人物をカメラで確認してからドアを開けた。
「天野翡翠様ご本人で宜かったですか?」
「はい」
「内容証明郵便が届いています。こちらに受け取りのサインをいただけますか?」
郵便局員に言われるまま、渡された小さな用紙に名前を書く。
用紙と引き換えに郵便局員からA4の茶封筒を受け取った。
差出人は、長谷川法律事務所となっている。
封を開けると、難しい法律用語が使われた文章が長々と書かれたものが入っていた。かろうじて理解できたのは、unanimousの春日野比呂氏による著作権侵害とそれに伴う精神的苦痛に関する訴訟、という部分だった。
つまり、翡翠がunanimousの曲を無断でアレンジしたあげく、公けの場で歌ったことが著作権侵害にあたり、またそのようなことをされたことで、春日野比呂という人物が精神的苦痛を負ったという内容だった。
「…つきましては、来る×月×日午後4時、長谷川法律事務所にて話し合いの機会を設けたいと存じます。」
最後はその言葉で締めくくられていた。
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