嵐の中で
BISMARC
第1話
私たちがここに閉じ込められて、1週間がたった。
正確に1週間かどうかは分からない。
もしかしたらまだ3日しか経っていないかもしれないし、もう10日が過ぎてしまったのかもしれない。
私たち――私と、双子の弟の翼――が旅行の宿泊先に選んだのは、宿泊費が安いだけが取り柄の合宿所のようなゲストハウスで、実際に数年前までどこかの企業の合宿所だったらしい。
そして今でも合宿所だった頃の厳格な規則が有効で、私たちはここに着いてすぐにスマホを取り上げられてしまった。
「ったく信じらんない。スマホ取り上げるなんて、合宿所っていうより刑務所じゃない?」
不満をもらした私に、翼は宥めるような微笑を見せた。
「別にスマホなんていらないだろ? 凛とこうやって直接、話せるんだから」
それもそうだねと、私は頷いた。
ここはいわゆる絶海の孤島で、週に2度のフェリーでしか外界と行き来ができない。
そして折からの嵐でそのフェリーが欠航してしまったため、私たちはこの島に足止めされているのだ。
しかもスマホを取り上げられてしまった上に、ここにはテレビすらない。
だからどうしても、日付の感覚が曖昧になる。
でも、そんなことはどうでもよかった。
こうして誰にも邪魔されず、翼と一緒にいられる。
それだけで、私は幸せだ。
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