第四十四話 大伽藍
しかし、その大きさは先ほどとは比べものにならないくらい広い。
そうであるから、中心にいる二人の人物もよく見えた。
片や黄緑色の
片や群青の
それが背を見せ、ゆっくりと印を結んでいたのだ。二人が向かっているのは
ゆっくりと距離が狭まるにつれ、それまで
――
ゲンタと
カヤが小さく「ひっ」と漏らす。
だが、
「我、願う。彼の者の、その口、その舌、その言の葉の
同時にカヤも
「汝、人なり、思う者なり。されど、
ようやく振り返った二人の口に、次々と
けれど、
それゆえに、カヤの口を利用した。自己が確立している人間には、非常に効きにくいことは分かっている。それでも少しは効くのだ。まったく効果がないこととは雲泥の差がある。少し効くだけでも
ゲンタがとてつもない速度で走る。相手は言うまでもなく、
右手に宝剣・
斬るにはまだ不十分という間合いで、彼は左腕を外から内に大きく
次の瞬間、前方に巨大な黒い腕が現れ、
二人は目を見開き、すんでのところでそれを避けた。その間にも、口の
今度は、広い空間をカヤの神楽歌が満たし始め、鬼の力を封じにかかる。
そうなれば、反撃しようとしていた
そこへゲンタが
しかし、ゲンタの動きもいつも通りになり、鬼の力のない
その一方で、
当の
しかし、違った。
予期せぬ動きに、何事かと目を凝らした
見事な袈裟切りで切断された
気が付いたゲンタと
カヤも神楽歌を止めた。
全員、本能のようなもので動きを止め、
今、
彼は地面に落ちた
その光はまだ失われていなかった。そればかりか、動いている。
見間違いではない。だからこそ、皆がそれを凝視しているのだろう。
やがて地に落ちた光が抜け出した。
けれどそれも少しの時間だけだった。
のたうち回った光は
それらはなんの抵抗もなくすんなりと入り込み、溶けるように消えていった。
ゲンタがカヤを見る。
彼女は悲しそうな表情をしているだけで、他に変わった様子は見られない。
彼はうずくまっていた。
自分で頭を何度も殴り、その次は胸を掻き毟り、何かの毒にでも当てられたかのような凄絶な様子であった。
だが、それも終わった。
ゲンタとカヤも彼を見ている。まんじりともせず、何が起こったのかと様子を見ている。
そして、
しっかりと地に足を着けて歩き、
「父上!」
「止まれ!」
危ういのだ、
だから、
「
重なるように声が二つして、
その動きは
カヤが目を瞑る。
さしもの
だが、
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