第35話
羽織袴を貰ったのは良いが、普段は何を着れば良いのだろう。
今さら着物姿になるのも動きにくくて困る。服装を変えても話し方や、やる事で、すぐ普通の人間じゃないことに気づく。それなら今の洋服のままで通すしかない。だが何十年も洋服が着られる訳ではないがボロボロになってしまう。作るにも洋服を仕立てる職人は居ない。生地だってまるで違う。
やはりこの時代で生きて行くには、衣食住すべてを切り替えて行かなくてならないのか。便利な時代から来て不自由な生活を続けるのは苦痛だ。
それなら二十一世紀の技術を誰かに教えて、文明改革を起こせばいい。
便利な物を作るなら、みんな喜んで技術を取り入れようとするだろう。
食生活に置いてもそうだ。確か牛や豚料理が食べるようになったのは明治維新のあとだと聞く。この時代は殺傷禁止令というものがあり肉を食べる事は禁じられている。牛や馬は家畜に使うから、それを食べるなんて事は許されないだろうか。豚料理を食べる習慣がなかったから豚を飼っている時代劇ドラマを観た事もない。肉料理は主に野生の猪や野鳥などだが、一般の庶民は禁止されていた。
間違って豚肉、牛肉を食べたらどうなるか調べて見た。奈良時代から江戸時代まで獣肉食禁断という法があったらしい。これではいくら自分が進めても食べれば罰せられる事になる。なんと不便な時代だ。卵は食べても鶏は食べない。しかし牛乳は法には触れていないが、この時代牛乳なんて飲まなかったし、せいせい山羊の乳くらいだろう。その山羊でさえ飼っているとは聞いた事ない。なんとかし牛乳が欲しい。
しかしパンなら作れるかも知れない。麦は作っているから工夫次第で完全な物でなければ作れるだろう。それに食用油は菜種があれば作れるだろう。玉子はあっても、この時代に玉子焼きあったのだろうか。そもそもこの時代は焼くという習慣はあまりなく、なんでも煮て食べるようだ。
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