第6話 カーナビもラジオも作動しない

「そうだ、車のカーナビを確認すれば分かることだ」

 誰も居ないのに大声で叫んでみた。そうしないと不安でたまらなかった。

最後の頼みの綱となるGPSの地図。急いでランドクルーザーに乗ってエンジンを掛けると一発で始動した。これもエンジンが掛かるかどうか、一抹の不安があったからだ。いつもと変わらぬ軽快なエンジンの音に安堵したがエンジンが始動すると同時にカーナビが作動した。

 

GPSの地図が居場所を示す矢印が出る筈だ。地図は出た! 矢印もあった。良かったぁと雄一はホッとした。それならば、と敷地の外に出て走って見た。

ある筈の道はなく草むらと林だけだ。カーナビに記された車のマークは止まったままだ。つまりカーナビの地図は動かない。これではカーナビの意味がない。次に画面をテレビに切り替えた。だが無常にもまたしても、ザーと音がして放送は入らなかった。続いてラジオのスイッチを入れる……だがこれも雑音だけだ。


つづく

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