第1話 冒険の終わり(前編)

 さて、改めまして…


 〝葬送のフリーレン〟は山田鐘人、アベツカサによる、ファンタジーマンガです。掲載誌は週刊少年サンデー。2020年22・23号より掲載中。

 第14回マンガ大賞、第25回手塚治虫文化賞新生賞受賞です。累計発行部数は1100万部以上です。


 アニメ監督は、斉藤圭一郎氏。シリーズ構成は鈴木智尋氏。アニメ制作会社はマッドハウス。

 もっといえば……ぼっち ざ ロックの監督、ワンパンマンの脚本家、ヴァイオレットエヴァーガーデンの音楽家、YOASOBIのオープニングが集結したすごいやつ!

 サンデーの編集長は、「鬼滅を超える!」と断言しています。



 アニメの1話目から4話目までは金曜ロードショーの枠で一挙放送されました。


 1話目・〝冒険の終わり〟、内容は…


 勇者・ヒンメル、僧侶・ハイター、戦士・アイゼン、魔法使い・フリーレンの勇者パーティーが魔王を討って凱旋する所からスタート。


「帰ったら、仕事を探さないとなぁ」

 勇者・ヒンメルのぼやき。リアル。


「もう、そんなこと考えているんだ」

 一方、銀髪ツインテ美少女風エルフ(推定1000歳以上)のフリーレンは、呑気。


「大事なことさ、この先の人生の方が長いんだ」

 淡々と語る勇者には、ぎらついた野心とかは感じられません。


 そこに僧侶・ハイターが会話に加わってきます。


「私は、お酒が飲める仕事がいいですねぇ」


「お前、僧侶だろ」


「「「「あはは」」」」

 みんな、仲がいい。


 男3人、女1人のパーティー。しかも、人間2人、ドワーフ1人、エルフ1人という構成なのに何もギスってません。ひと昔前まで大流行していた〝追放もの〟とは、大違いです。


 場面は、一転。


 王様に謁見した後、凱旋パーティー。勇者一向は、ジョッキを片手に眼下の街並みを見下ろしています。


「終わってしまったな」

 戦士・アイゼンがしみじみと呟く。


ヒンメル 「そうだね。僕たちの冒険はこれで終わりだ」


ハイター 「10年ですか? いろいろなことがありましまね」


ハイター 「旅立ちの日にヒンメルとアイゼンが王様にタメ口きいて処刑されかけたり」


フリーレン 「下手したら、あれで冒険、終わってたよね」


ヒンメル 「ハイターが二日酔いで役にたたなかったこともあったよな」


アイゼン 「週に一度は、そうだったからな」


 生臭坊主のハイター……フリーレンいわく、二日酔いの時はアンデッドみたいな顔色をしてたそうです(苦笑)



フリーレン 「その点、私は優秀」


 ドヤ顔麻呂眉銀髪ツインテ美少女風エルフ、無い胸を張る。


アイゼン 「……ミミックに食われかけた時は、おいて行こうかと思ったぞ…」


ヒンメル 「散々、罠だと言ったのに…」


 回想シーン。ダンジョンの冒険中(?)。上半身をミミックに呑まれて、下半身を突き出して、足をあせあせとばたつかせる、無様なフリーレン。「暗いよ〜、怖いよ〜」


ヒンメル 「あはは……全く…クソみたいな思い出しかないなぁ。……でも…楽しかったよ。……僕は君たちと冒険できて…よかった」


 超人で善人の集まりのはずなのに、仲間内の会話では、残念なエピソードばかりです。(大爆笑)



フリーレン 「短い間だったけどね」


ヒンメル 「……短い? 何を言ってるんだ。10年だ。ハイターを見ろ。すっかりオッサンになってしまったぞ」


ハイター 「失礼ですよ」


フリーレン 「元からでしょ」


ハイター 「失礼ですよ」


 ハイターは、オチ担当か。人間とエルフの寿命が隔絶しているために、10年という時間が短いのか長いのか両者の会話が全く噛み合っていない所が特筆すべきポイントですね。


 夜空を見上げると天から降り注がんばかりの流星群。


アイゼン 「そろそろか」


ハイター 「エーラ流星……でしたっけ?」


ヒンメル 「50年に1度の流星群か……。平和な時代の幕開けには、丁度いいな」


フリーレン 「街中だと見えづらいね」


ヒンメル 「……人が感動しているんだ。空気を読みたまえ」


フリーレン 「じゃあ、もっと綺麗に見えるところ知ってるから案内してあげるよ。…次の機会に……そう、50年後ね」


ヒンメル 「ぷっ……あはは。そうだね、また、みんなで見よう」


 他の2人の、(おいおい。お前、これから半世紀も俺たちと会わないつもりなのかよ)といった呆れ顔がシュール。ここでも、人間とエルフの時間感覚のズレが際立ちます。

 人間の同窓会って、もうちょい高頻度ですよね。5年か10年に一回くらい?


 次の日、フリーレンは王都から去っていきます。100年くらいかけて魔法を収集するために中央諸国をめぐるとか……。

 いや、50年後にみんなで流星群を見るんじゃ?


ハイター 「50年も100年も、彼女にとってはささいなものなのかもしれませんね」



♠️

 50年後……


 その間、フリーレンはたった1人で諸国を巡っています。本を読んだり、研究材料を集めたり、魔法を披露して路銀を稼いだり。ダンジョンでは、きっちりミミックにかかって、かわいく無様にあがく天丼を披露。……天丼(お決まりのギャグを何回も繰り返すこと)は、お笑いの基本ですよね。


 ある時、フリーレンは道具屋を尋ねます。


フリーレン 「暗黒竜の角、無い?」


店主 「暗黒竜じたい、ここ2、30年見て無いねぇ」


 そこで、あることを思いだすフリーレン。


フリーレン 「これ、預かっといてくれる?」


 障気のようなものをシュウシュウと放つ真っ黒な角を両手で抱えて、ヒンメルに渡すフリーレン。何、これ? 暗黒物質??


ヒンメル 「大丈夫これ? 人体に影響あったり、しない?」


 そんなこと言いながら、預かってくれる勇者・ヒンメル。まじ、いい奴。


 そんな回想をしながら、ちょうど50年たったし暗黒竜の角も返してもらおうと思いたつフリーレン。


フリーレン 「前来た時と、だいぶ街並みが違うなぁ」


 王都に着いたフリーレン。そりゃ50年もたてば街並みもすっかり変わるわ。エルフの時間感覚、人間と乖離しすぎなんよ。


ヒンメル 「フリーレン」


 後ろから声をかけられて振り向くフリーレン。声をかけた人物をまじまじと見つめます。



フリーレン 「老いぼれてる」


 おしゃれでナルシス気質のある美青年だったヒンメル。白髭を蓄え、背は元の半分以下。髪の毛は、一本もありません。ですが、好々爺といった風情。好青年が、そのまま好々爺になった感じ。


ヒンメル 「言い方、ひどく無い?……年をとった僕もなかなかイケメンだろ?」


 ひどいことを言われても全く怒らず、ユーモアで返すヒンメル。やっぱり、ナイスガイです。


 中略


ヒンメル 「暗黒竜のツノだね。……忘れたことはなかったよ。ずっとタンスから邪悪なオーラが出ていたからね」


 ヒンメルの家についてからの会話。いやいや、それ、絶対やばいやつ。ヒンメルが老いぼれたの、暗黒竜の角に呪われたからなんじゃ……。タンスにしまっておくなよ。


フリーレン 「なんか、ごめん。適当に納屋にでも放り込んでくれて良かったのに」


ヒンメル 「そんなわけにはいかないよ。君は軽い気持ちで預けたのかもしれないけど……僕にとっては、大切な仲間から預けられた大事なものだ。いつかこうして君にちゃんと返すべき物だったんだ」


 ヒンメルの義理がたい性格が良く現れています。



♠️

 場面転換。


 トントントン。ガチャ。


 流星群を見にいく準備をしているヒンメル。待ちくたびれたフリーレンは様子を見に来ている。


フリーレン 「ヒンメル、まだぁ? ハゲなんだからこだわったって意味ないよ」


ヒンメル 「ハゲにはハゲのこだわりがあるの!」


 フリーレン、ひでぇ。そしてヒンメルの返し、おもしろい(笑)


 エーラ流星を見にいき家から出るフリーレンとヒンメル。


 そこで、ヒンメルの家のアップ。ヒンメルの家、一軒家ですけど、こじんまりとしていてずいぶんと庶民的。大貴族とか、そんな待遇では全然まったく無さそう。あと、一生独身を貫いた感じ。


中略


フリーレン 「ずいぶん、貫禄が出たねぇ。ハイター」


ハイター 「聖都の司教ですから。……あなたは全然変わりませんねぇ」


 ハイターは、身長や体格はそれほど変わらず、ハゲてもいない。聖都の司教とはいえ、大司教では無いあたり、あくどいこともやらなかったのだろう。ヒンメルもハイターも清廉な生き方を貫いてそう。


フリーレン 「頭、撫でんな。……アイゼンは全然変わってないねぇ」


アイゼン 「そうか? そう見えるか?」


フリーレン 「さすがは、ドワーフ」


ハイター「まだエーラ流星には時期が早いと思いますが……」


フリーレン 「うん。だからここから一週間くらい歩いて行こうと思って」


ヒンメル 「老人を酷使しおって……」


 この流れ、なんか好き。というか、このパーティー大好き。そして、瞬間移動の魔法とかは、無いのでしょうか?あるけど、あえて歩く感じ??


 道中、モンスターに遭遇し戦闘することになる一向。


 ドワーフのアイゼンが牽制して、フリーレンが極太ビーム魔法を放ってあっさり片付ける。


 ヒンメルとハイターの出番がないのは、衰えゆえなのか?


 そして、みんなでふたたび流星群を眺めましたとさ。


 これ、1話目の半分くらい解説したに過ぎないのだけど。この密度、やばくないですか??

サラッと作中で50年とか経過してるし…。


 まぁ、パーティーの会話をほぼそのまま載せてるから情報量がやばいことになっているわけですが…。

どの場面もどの会話も重要だし、面白い上にエモすぎて端折れなかったんですよ。


 この後もエモい場面づくしなのですが、分量が多くなりすぎるので、次回にします。


 僕的には、1話の半分くらいの時点でもう継続視聴することを確定したのですが…4話も一気放送する必要あったのかなぁ? 


 これが〝追放物〟だったら1話で切っているのですが、この作品は誰1人悪どい人物が出てこなくて終始ほっこりします。

この感じ、ナイスです。これは個人の一感想であり、もちろん、異論・反論も喜んで受け付けます。ご意見・ご感想を聞かせてもらえると嬉しいです

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