第2話 美しきエルフと討伐隊
「ここが祭りの会場か? 思ったよりも
「なぁに、準備の方が楽しいものさ」
馬車を追って
「うむ? 君たちは?」
アクセルたちの存在に気づき、ひときわ立派な鎧を纏った中年の男が、二人の元へと近づいてきた。
「お、アンタがお偉いさんか? 俺様は大盗賊のグリードだ!」
「――失礼。騎士団長どのとお見受けします。私はアクセル・マークスター。実は……」
無作法な相棒を制止し、アクセルが上品な
続いて目の前で
「おお、そうか! 加勢してくれるとはありがたい!
騎士団長キュリオスは王国式の敬礼をし、現在の戦況を二人に話す。
彼いわく、北の隣国・ディクサイスが魔王軍の手に
現在は国境を守護する〝辺境騎士団〟が侵攻を食い止めているものの、数の差は歴然。いずれはネーデルタール国内が戦場となるのは明白だ。
「今や魔王軍は我が国のみならず、全世界・全方位へ向けて進軍を開始している。はは、奴らも出し惜しみは無しといったところか」
「そんな
「問題ない。
キュリオスは自信に満ちた笑顔を浮かべ、手の空いている
命令を受けた従騎士は何の疑いもなく、上官からの注文を了承する。
そして
「はぁ? なんでまたピザなんか……」
「我ら王国騎士どもの好物でな。いわば、最後の
キュリオスからの返答を受け、理解不能とばかりに首を
◇ ◇ ◇
「それで団長どの。『我らにしか出来ぬこと』とは?」
「ああ、実は心強い協力者が
「――それについては、
騎士団長の言葉を
上品な服に、風になびく金髪。一見して、彼女が高貴な人物であると判断できる。なにより この貴婦人は神に近しいとされる〝エルフ族〟らしく、耳の先端が長く
「こちらの
「キュリオス様?」
さきほどよりも強い口調で言い、レクシィと呼ばれた女性はキュリオスを
レクシィは短い
「ヴァルナス――いえ、魔王ヴァルナスとの決戦は、今夜です。
「うむ。あの魔王めは、元はエルフ族でな。かつては人間族の我々の耳にも届くほどの
彼女の話を補足するかのように、またしてもキュリオスが口を挟む。レクシィは再び彼を睨むも――妙なスイッチが入ってしまったのか、騎士団長の舌は回り続ける。
「なんでも魔王ヴァルナスとレクシィ殿は、大学時代からの恋人同士だっとか。なんと
「……コホンッ! キュリオス様!」
レクシィの
どうやら彼は、レクシィに対して好意を抱いているらしい。
アクセルたちは二人の様子に〝お手上げ〟のジェスチャをしながら、互いの顔を見合わせた。
「ひとつ、
当然ともいえるアクセルからの疑問に、レクシィは悲しみに満ちた顔をする。
そして年季の入った携帯バッグから、なにかのアイテムを取り出した。
「うおっ!? そいつは〝時の
「あら?
「当たり
そう名乗りながら胸を張るグリードとは裏腹に、アクセルは気恥ずかしそうに頭を抱えている。
時の
「……
信じ
「
そう言いかけたレクシィの手の中で、時の
「ハッ、そういうことかい。実際に
「あら、何かしら?」
「エルフの里にも、大学なんて立派なモンが
グリードは言い終えるなり、どこか馬鹿にした調子で大笑いをしはじめた。そんな彼に腹が立ったのか、レクシィはグリードの顔面に思いきり拳を叩き込んだ!
「ぶおっ!?
「当たり前ですっ! 大学に評議会に裁判所!
「わかった、悪かった! くっそ、野蛮なのはどっちだっての」
彼の態度にしばらくレクシィは口を曲げていたものの、やがて小さく
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