喪女っ子転生 〜異世界ショタもおにいさんも大好きだから本気でイジり抜く〜

西 喜理英

第1話 ブザマイキ

 わたしはひとりっ子だったせいか、昔はお兄ちゃんが欲しいと思ってた。


 でも思春期の終わりに差しかかる頃、性癖革命が起き、それからは弟が欲しかったなって思うショタに目覚めていた。



 彼氏居ない歴27歳の自宅警備員のわたしは、ただいま職務から離れていた。


 ママチャリを漕ぎ、小学校がある界隈をゆっくり児童たちの安全を守るための巡回中パトロール

 もうそろそろ下校時間だ。


 サドルもいい塩梅で食い込んでいた。

 あんっ♡  と、思わず漏れそうになる声を抑えつつ、野外で果てる──性癖革命とはパラダイム・シフトであり、そんな背徳感つよつよなものに目覚めていた。


 おっ! 居た居た! ターゲットロック! あの可愛い子でイキたい♡イキたい♡



 ──わたしは逝った。



 ぼーっと耽って脳汁ダラダラになってたわたしは、前方から右折してきた軽自動車に気がつかず、はねられ、打ちどころが悪くしてあの世ゆき――そう神さまから聞いた。


「……呆れたヘンタ……いや、なんとも哀れな。もういっかい……人生やり直させてやるからそう悲観するでないぞ。異世界ならたぶん児ポ法もないから転生してみるかいの?」


「たぶん?」

 神といえば、全知全能という認識だけど、なにかいい加減なものを感じた。


「もちろん、異世界言語もわかるようにしちゃるし、チートアイテムでも何でも、ひとつだけ付けてやるぞい」


「ほ、ホントに何でもいいんですか!? どんな望みでも……」


「いい歳こいても一向におさびし状態に加え、あまりにその……な、ブザマな死にっぷりじゃったからな。せめて……」


「そんな酷かったです?……」


 可愛い男の子を眺めるくらいはいいじゃん。安全のためでもあるし。

 こそっとひとりで耽るくらい誰でもしてるだろうし……。


 ――あ、あーーーーッ!!


 お、おお思い出した……えらいなことを……わたし、あのときママチャリを漕ぎながら……。


「て、ててて手元ではリモコンのボタンぽちぽちしてて……り、リモコン……ろろローターの!! えっえっ!? やだ!? 入ったままに……ひぃぃぃぃぃ!!」



「……まぁ、第二の人生を送って上書きすることじゃな。して、どんなチートを望む?」


 ……う、うん。わっ、忘れるっ! 忘れるしかないっ!

 な、なんとか気を取り直して……ヒッヒッフー、ヒッヒッフー……。


「……そりゃあ、かわいい男の子だけ付けてくれれば、ほかは特に。11か12歳くらいの!♡ 弟のような、わたしのことべったりいいいって慕ってくれて♡ 生涯ずっと一緒♡ ずっとずっと♡」


「た、た立ち直りが早いの……てか、筋金入りじゃな…………」


「あ、でもわたしの身体に直接付けて結合双生児にするとかはやめてくださいよ」


「結合双生児は、一卵性だからして、男女というのはありえんよ。なに心配せんでもええ。そんなトンチの効いたことはせんわい」

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