Xにポストした短歌のまとめ

河村 ポチ

第1話

君の涙はファンデいろ、心にも厚化粧の大嘘つきめ


偶然は偶然のままで偶然は捏造すれば全てうそになる


同じ音を同じ言葉で表現したら君と僕は多分運命


深夜ラジオ 生放送が終わったら、僕はこの世に一人ぼっち


窓ガラス 梱包材 寒くないこの部屋はどこに配達される?


君だってディミニッシュの不安な音の世界にいきてるのだろ?


この雨もストゼロも壊せぬこの悲しみ 眼前の川飛び込めば?


ダウンから飛び出て落ちた羽一枚もう考えないもう忘れたの


あの子より、私のほうが、あの子より。チヨコレイト、ビタービタービター


イヤホンよ彼も知らない曲を流して私のちいさな反抗のうた


別々の街で僕らはエイリアンBmaj7の空気の中で


ドミナント 5度も離れれば別の人 好きだった君に知らない人の影


君の背のぬくいところに頬ずりを、ここに連れるのはわたしだけでしょ?


君の背のぬくいところに頬ずりを、ここに連れるのはわたしだけでしょ?


ガラガラと好きが壊れる音も好きと思えたら、ほんとうに好き、だったってことかも


実家の味はカロリーの味 ただいまあのね、おかえりそれで


君の繊細なその網膜に この優美な青を届けんと


おかえりと迎えてくれる君の声 迷子の僕を救うコンパス


記念日を忘れてしまった雨の空 君とつながる虹は消えた


真夜中に目が覚める寝ぬまま寝れぬままベイビーブルーの空


歌うのはただただ自由 厄介な風邪なくとも私は歌う


眠れないのは眠る努力をしたくないから 夢に君は来ない


夢の中 君がいるなら怖いけどすぐに眠るよ まっててまってて


歌うより 溢れる声は 嘘のフリ だれにもいえんのこの心の底


その歌が色づけてきたこの空も全部嘘で幻だったし


君にだけ見つけてほしくてほしくない 口に出したら終わる感情


好きだった君が醜く見える夜 今夜の空は大雨予報


まっすぐに言ってはいけない感情を零さんように宙に放る


しっている ここで放ってもとどかんと けれど秘すれば腐る感情


海が見たいね 月の海ならここから見えるよ


君となら月の海すら遊べると 静かの海を泳ぐ日想い


真空の海の底に音はなく 月の石に鼓動は零れ


この海はロクブンノイチの重力 ひとりで越える地球照の夜


おろしたての靴が痛くて 君のこと どうでも良くなる金曜の朝


休日に開けるカーテン レールの音 ふだんの闇を浄化してくれ


開放するスピーカの音と缶チューハイ 一人暮らしのただいまをぼやく


眠れない夜に数えた羊たち、行列なして月にゆきます


世界中の悲しい記憶を この川の写し鏡の街はたぶん知らない


あの夏のライブハウスで 本当は君に名前を呼ばれたかった


君の目を見れずにまつ毛伏せました この感情がバレんようにと


あの夏のライブハウスを後にして 夜風の湿度 肌に張り付く


叶わない 君と夏フェス 私の汗 あの歌みたいな夏に焦がれた


500円のビールの味も今はもう 慣れてしまって切なくなれん


好きだとか、幻だったよ、ロックスター。一人で行けるわ、ライブハウスも。


オクターブ離れて僕らいつまでも 近づけないまま相似のメロディ


夏の予感 晴れ渡る空 タチアオイの花に問う 梅雨の終わり


その肩に創り物の羽根つけたとて空は飛べんと教えてあげる


君が背に羽根を生やしたその時に この恋なんて終わっていたね


ストゼロと惰性で過ごす 涙腺のかたく締まって泣けない夜


会えたってなんにもならんと知っている酩酊すれば夢でも会える


そんな別の世界線とかどーでもいいよ この世界線でどーにかしよう?


where's my love? 現と夢の境界で君を探した ライラックワインと


このこいは ゆめかまぼろし いまだけは だきしめていいの だってゆめだし


君の肌 黒く染めゆく欲望を 僕の言葉じゃ流せない夜


火傷しない熱さの缶コーヒー この好きはすぐに嫌いに翻るから


僕のこと見てはくれない君だから 両の眼窩に火をつけようか


君の目が濁って笑う 網膜の奥の声が読み取れなくて


今夜だけ、名前を呼んでくれたらいいの あしたのことはどうでもいいから


だまってちゃ、つたわらないの、わかってた。くちにだしたら、こわれることも。


暑い夜にぬるいシャワーで髪をすすぐ。甘い香りは、自分のためです


ねむれない。こわいゆめとか、みたくない。ねおちるときを、ずっとまってる。


ジンソーダのしゅわしゅわをのみこんで 雲の隙間の青空をトぶ


散乱すセミの抜け殻踏まぬよう 遊歩道の真ん中をゆく


ねぇ生きてる? ふれているのにふあんだよ クーラーで冷えた 二人のつまさき


君となら普通に恋もできたのか 今や判らん 火をつけ燃やす


イヤホンと頭蓋の中で独占す電話越しの君の声


洗われて洗濯機の中干されない洗濯物よ 疲れたごめん


エアコンのモーター音を伴奏に 君を想って夜が明ける


君の肌が湿る温度を知らんからどこまでいっても全部妄想


私より柔らかな肌に触れて知る 生きた時間 埋まらぬ経験


その喉を私に頂戴その声を他の誰かに聴かせんために


蝉しぐれがこの鼓膜を揺らすから 思い出すんだ、あの夏の君


海の底 落っこちていくわ 息のあぶく ながめているわ これでさよなら


足首がこころもとなくもげるよう 泣きたいのに 泣けないよ


ねぇ、見つけてよ。私はずっとここにいるのに。入道雲の湧く街の下。


散歩する雑種の犬の尻を追う もうじきここに夕

立の気配


閃光の数秒後に雷鳴響くこの街では雨宿りもできん


見覚えのある背中に振り向けと念じても君は前だけ見て歩いてく


迎えには来るはずない人に迎えに来てと願っても


バズらなくてもいいから君からのいいねがほしくて言葉を零す


幻を追えどその背は紛れゆく 現の街は君より遠く


わたしたち、まちがいなんておきないね 月と地球じゃあまりに遠い


にじみゆく雲の端に終わる夏の匂いを追いて蝉が鳴く


秋風を呼びながら台地の縁を入道雲の葬列がゆく


まだ知らぬ彼の香りが溢れ出す 一人で開ける香水瓶


似ていないわたしたちなら この夜に共に寝るのも許されるでしょう


我が為にマニキュアを塗る 雨音が換気扇から入り込む夜


秋空が高い分だけこの足も宙に浮いた心地のする


つかめない痛みの形をなぞるたび、あなたの声がリフレインする


君の羽 透明だったはずなのに 気づけば濁り黒く染まって


君の目が濁って濁る時差の国 ため息なんて届くはずなく


不安定な声に揺らぐ感情に、キミには堕ちぬと閉じる心


高すぎる澄んだ空に落ちるよう。ブランコ乗って宙を蹴り、


今晩もその冷たい網膜が映す世界にわたしはいない


眠れない満月の夜、手渡しの愛の重さに深呼吸する。


何もしてくれない手だと知っていて寄りすがっては空(くう)をかすめる


対岸のビジネスホテルにすら君はいないんだよいないんだよ


にぎやかで明るい街でよかったと、カーテンを開け眠る夜


占いで君のことを知れるほど、簡単な訳ないと知ってる。


心臓がもげそうなほど痛いから早くその手で押さえてほしい


あなたとぺったりくっついて夜を時を溶かして朝になる


さようなら 解体される廃ホテル 冷えた埃の臭いが降る


ねこになる ねこにはなれぬ ねこになる ねこにはなれぬ ねこにはなれる


君への思い 薄暮の苦さ 写真に写らぬ飛行機雲


独り寝の夜空を滑る飛行機の夜霧に滲む白い点滅


誰の死も、かくあるべき、はないのです。受ける人も発ち往く人も。


まんまるな月を追いかける追いかける 君の声聴く 感度は良好


バスタブに浮かべるほどの湯をためる。卵の重さの心は沈む。


朝ドラで平和の始まりに涙する平和の終わりの予感する世界


まっさらで何もかけない絵葉書をそのままポストに落とせたのなら


世の中を瞬膜越しに眺めては泳げないから溺れて沈む


ぎゅうぎゅうと君を求める気持ちすら押し潰されるブラックホール


経つ時も恋も希望も喰い尽くせジェット吹き出すブラックホール


つなぐ手もないあいた手が風を切る。小指の先が、じん、とひえる。


君のその顔すらも見たくなかった 体内で延焼する炎

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