彼女の事を本当に愛してた

水都suito5656

前日譚  欲張りな彼女(改)

僕の彼女は浮気をしている

相手は僕の知らないやつ


バスケ部の遠征の時に一目惚れされ、以降何度も告白されているうちに好きになったらしい。


彼の勝因は何度断られても諦めないこと!

さすがスポーツマン!

僕とは根性が違うね!


そんな誰もが羨む彼氏ができたすというのに、彼女は僕になかなか別れを切り出してくれないですよ。


きっと内気でシャイな女の子だからなんでしょう。

まあ18歳で女の子はキツイけどね


あれだ

彼とはスリリングな恋愛を求め

僕とは平和で平凡な日常を求める

ほんと贅沢な女です。


***


「急に家族と出かける用事ができた」


彼女の誕生日の日。プレゼントを用意して予約している店で待っていると、そんな連絡が来ました。


ドタキャンに定評がある彼女です

まさに浮気相手が本命に変わった瞬間であった。


もったいないからと二人分のディナーを食べる贅沢をさせてもらいました。

流石に濃厚スープ二人分は贅沢過ぎました。お腹が痛くなってトイレとお友達になってしまいましたよ。 


ポケットから誕生日プレゼントがトイレに落ちたので、ばっちいからそのまま流しました。


ごめんなさい、レストランと水道局の人。


でも指輪一個だからう◯こよりは小さいと思うよ。

もし見つかったら燃えるゴミの日に出して下さい。


その日、帰宅して布団の中で指輪は燃えないゴミということに気がついたけど、面倒なのでスルーして下さい。どうせ判んないし。



テスト期間 いつもなら一緒に勉強してたけど、ごめんね友達と勉強する約束したと連絡が来ました。 


最近のラブホはきっと勉強のための設備が充実しているのでしょう。

まったくリア充は羨ましい限りです。


お陰で1人図書館で勉強がはかどってしまいました。

期末試験の範囲まで満点を取れる勢いです。

志望校変更しようかと真剣に考えたけど、貧乏なので止めました。



「クリスマスは一緒に過ごしましょう」


何をとち狂ったのか、甘い罠を仕掛けられました。


これはあれか。

プレゼントを売り飛ばす作戦ですね。そんな手には乗りませんよ。


僕は最高級の偽物を用意しました。売れるかしらんけど。


たまに僕たちの関係って一体なんだろうと考えてしまう。

とりあえず彼女にいてほしい僕と、それを資金源にうまく活用する女というとこでしょうね。


何にせよ、金の切れ目が縁の切れ目。世知辛いわ



年末はお金が余っているのか、最高級レストランにお呼ばれした。

彼女の父親と名乗る男に紹介されたんだけど、パパ活で稼いだ食事は大変美味しかったです。

トイレではいたけどね。



年が明けましたが、彼女はなかなか別れを切り出してくれません。

一体どうしたというのでしょう。


何かおかしなものでも食べたのかもしれません。

あるいは彼氏とうまくいってないのかも


ここは僕が彼女の好きな物や、行きたい場所を教えれば良いですね!

でもよく考えたら彼の連絡先知りませんでした。ごめんね彼氏よ 



高校卒業の日 僕は校舎裏に呼び出されました。


ようやくですね! 

ほんと待ちくたびれましたよ!


別れる心づもりは準備万端整いました! 

さあ、カモン!です



・・・おかしいですよ、今日の彼女

卒業したら僕と一緒に暮らしたいと嘘をつくのです。 


そんな気はないでしょ。

浮気は駄目ですよ!


・・・ほんと彼氏に悪いと思わないのでしょうか。





今日は彼女の結婚式です


初めて見る彼氏くんはとても優しそうで、かっこいい人ですね。

きっと夜の方も頑張ってくれるに違いないです。ほんと羨ましいです。


友人代表に選ばれました。何という嫌がらせでしょう。

どんな学生でしたかと聞かれたので、高校の時から子作りに励む立派な新婦ですと話しました。

どっと会場が沸きました!


ついでに彼女は避妊のテクニックも最強ですと褒めてあげました。

なぜかその時は、新郎側の人が青ざめてました へんですね


司会者にでは最後一言贈ってあげてくださいと言われたので、

僕は慣れないワンピースの胸元を強く握りしめ、


高1の春から私は彼女の奴隷になりました 身も心も。 愛の奴隷です

でもそれも今日で終わります。

これは私の開放宣言です


深く腰を曲げて 祈るように 

みんなが笑う中、


彼女だけが泣いていた。




”あんたが貰ってくれたら それで良かったのに“


“絶対無理。彼に幸せにして貰いなさい“


そう彼女に微笑み返す


結局

最後まで別れの言葉は聞けなかった


ホント、僕の彼女は欲張りです






  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る