ウアジェト曰く些事
@Sin31415
第1の視点 A
「これにてスクールを終了します」
{オンラインへの復帰を確認しました}
{Update completed in 15 minutes}
トンスタトンスタ{部屋より退出する約30人の足音を検出、ノイズ認定排除します}
「#B一緒に途中まで帰らないかい」
「ええ、構わなけど」
{#4ポートで車両の到着:after 30s}
「キャンセル」
{agree}
「こっちの道で帰るのでかまわないよね」
「ああ」
「にしてもどうしても、L5が私に声をかけるなんて」
「まぁそう言わないでくれ君とは古い付き合いだ、そろそろ縁が切れるのなら多少会話をしたいと思ってもおかしくはないだろ」
「たしかに、もうその時期ですからね、けどどこか申し訳ない気持ちになってしまうのはどこか心苦しいですね」
{フォルダー6years agoと類似の表情を検出しました}
「何故君が心苦しいなんて思う必要があるんだ、これはあくまで私からの提案なのだから」
「たしかにそうですけど、私の1sとあなたのは同じでは無いのだから」
「それは一体なにを意味しているんだい」
ゴーゴー{車両の移動音が規定範囲を超過しました、ノイズ除去を行います}
「あなたはL5私はL1、それ以上でもそれ以外でも無いわ」
「たしかにそのレベル差はこれからの行動規定に明確な差異を生む根拠ではあるがそれ以上のものにはなり得ないはずなのだが」
「あなたにはその認識でいるのなら、私の認識を少し共有するわ。私たちを分ける差異であるレベルの定義は規定データ量をダウンロードするのにどれほど時間がかかるかになっているわ」
「根底の作業効率の差異それが時間の価値、なんて当たり前のことを言うつもりかい」
「ええ」
{周囲より音声が検出できません}
ピ{歩行不許可信号を検出}
「私達はこれから縁が切れるのよね」
「ああ当然だ、まああくまできっとというはなしだからね」
「あなたのレベルなら全然良いポジションにつくことが出来るに決まっているわ。私はレベルがレベルだけにどうなることか」
ピ{歩行許可信号を受諾}
「私ね最近、自分がおかしいような気がしてたまらなく不快なの。なんていうか」
「そういうことを言っている君の表情はいつも一致しているよ」
「どんな顔」
「決まって、不安そうなそんな顔」
{分泌物質抑制プロトコルの個別設定、警告範囲に入りました}
「もう少しこのままでいさせてくれ」
「あなたは、#Aも何だかんだ、昔みたいだよ」
「抑制機構を使わなきゃそんな物なのかな」
「私はどうにもその感覚がわからないの、これもまた不快感の原因の一つなのかな」
「レベル1には幼体から抑制に適合する司令は降りないから、だから使ってないのか」
「まぁそれが一番かな、私の場合は追加で譲渡エネルギーも大した量じゃ無かったから出来るだけ固定支出は減らしたくて」
「いつも移動に車両を使わないのはそれが理由だっけ」
「ええ、適合率が年を負えばもう少し上昇するかとも思っていたのだけど、そんなことは無かったみたいだしね」
「それは君が適合投与を受けていないのが理由では無いのかい」
「まぁ…そうかもね。でも私だって一度だってやったことなかった訳じゃ無いんだよ。けどあの感覚は二度も三度も経験したいものとはとても思えないものだったの」
「私はそれがどんなものか見当がつかないのだがどんなものなんだ」
「あなたって本は読んだことある」
「書類から情報を摂取したことはないな」
「んっ。そう、私はね。実はラーを、ラーナーを使う時間よりもはるかに莫大な時間を読書に費やしてきたの」
「なんて非効率な」
「やはりあなたもそういう反応をするしか無いのよね」
{併走のためには歩行のペースを1.25倍または歩幅を1.2することを推奨します}
「ジェレミーベンサムって名前聞いてことある」
「なんだい、それが名前なのかい。変な文字列だね」
「彼はね、犯罪者であっても日常的な恒常的な監視下にあれば生産的な労働を習慣化することができると考えたの」
「絶滅した言葉だらけだね」
ピ
「自省録には生きることが許されている間に良き人間であれといった旨のことが書いてあるの」
「なんとも、管理権限保有者に対する訓令ににているようだが、一切指揮フォーマットに適合していない表現だ」
「どちらも今から最低でも二百年は制作されてから経過しているわ」
「ウアジェトの誕生以前の記録と言うことか、やけに不確かであるわけだ」
「急に足を止めてどうしたんだ」
「いえ、あなたにもそう見えてしまうのね。
ねえそこのあなた」
「どうしましたか」
「ジェレミーベンサムって名前ご存知」
「私は該当情報を保有していません」
「そう」
ピ{レベル3市民より監査要求を受諾しました、対象は1890820です}
ピッ
「#B、ダイレクトエントリー用プラグを開いてくれ、オーダー受諾が確認出来ないんだ」
「あなた、そうそうなのか、ゴホッ」
「咳だって、何故。
レベル5権限により検査を開始します」
{ダイレクトエントリー用プラグの開示が認識来ません}
{コアユニットへの無線アクセスを開始します…error、ルートの形成が不可能}
「早急に医療ユニットの輸送うぉぐっ」
{衝撃を確認、第三カメラより攻撃が原因であることを確認:1890820を捕縛対象として緊急命令権限パターンホワイト}
「1890820:何故オフラインなのかセルフチェックの結果の即時開示を要求、また事実検証のためレベル5権限より四肢動作抑制命令を最上位権限で実行」
「こんなところで、ドジったなんて」
「対象の逃走を確認、個別稼働中の人民への支援要請」
{市民in call number 1}
{市民in call number 2}
{ノイズキャンセルを解除}
ドンスタドンスタ
{市民in call number 3}
ゴーゴー
{市民in call number 5}
{市民in call number 5}
「医療ユニットの輸送完了を確認、輸送ユニットに引き続き追従を依頼、装備を拘束ユニットに換装」
{agree}
{参加市民1,2,3,4,5対象LOST}
{分泌物質抑制プロトコルオート起動}
「視覚情報に該当対象検索不可」
{対象存在該当カメラに発見、座標+30°、20m}
「ゴホッ」
「参加市民に情報開示、セルフチェックを開始」
{開示完了}
{異常発見できず}
{対象を直視できず}
「ねえ#A、私はさっきベンサムを引用したけど実は彼の思考が理解できないの、だってパノプティコンが最大多数の最大幸福に繋がるようにはとても見えないのだもの。
それよりもジョージオーウェルのように露骨に嫌がらせでやってるって示してくれた方がよっぽど人道的に見えるわ」
「君はどこに行っているんだい」
{全身へ最優先で弛緩を行います、市民2へ補助を命令}
「さようなら#A、覚えてるここの廃墟ここは昔私達が遊んでた廃材置き場だよ」
「あっ」
{フォルダー5years ago ,event archive NO.190{error:強制停止}}
バタバタバタバタ
{ドロイド着任を確認}
「一足先の縁が切れね」
{Update completed}
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なんだ0ldか、ではプロビデンスへのあしがかりには、なりえないな。
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