第二話 (上)
不定期更新です。すみません。
⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎
神様に助けてもらって友達に別れを言って泣いてしまって、泣き止んだら全く知らないところにいた。
ところどころ森があり集落がある。あたしは道にいたので急いで森に駆け込んだ。森にはあたしの好きな木の実が沢山あった。山菜も生えている。あたしは、森の木の実、果実、山菜しか食べない。
魔物は、いない。良かった。
何日かすると、森に子供が遊びに来た。あたしは遠くから見ていた。子供が遊ぶのを見ているのは楽しい。それから時々子供が遊びに来た。森は子供の遊び場らしい。このへんの森は小動物しかいないからね。鬼ごっこをしている。小さな女の子が鬼だ。友達の女の子を思い出す。あたしの宝物の思い出だ。ちゃんと心の中の宝箱に入れてある。忘れないよ。
あ、女の子がころんだ。膝小僧を擦りむいた。傷が泥だらけだ。泣いている。近づいた。逃げない。泥を舐め取ってやる。そうすると治りが良くなると何となく分かる。泥を舐め取ると女の子が泣き止んだ。大丈夫だよ。みんなのところにおゆき。心のなかで語りかける。女の子は頷いて走っていった。鬼の続きらしい。振り返って、ありがとうって言われた。
次の日もみんなで遊びに来た。女の子がキョロキョロしている。あたしを探しているんだろう。木の後ろから顔を出す。女の子がニコッとした。擦りむいた膝小僧はもう治りかけている。良かった。
それから子供が森に遊びに来るたびに見守った。寒い季節になった。もう子どもたちは山には来られない。また暖かくなるまで来られない。あたしは寂しくなった。
夜、村の中に行ってみた。家の中でしくしく泣いている。覗いてみると女の子が寝ていた。顔色が悪い。変な咳をしている。あたしは夢中で家の中に入った。大人が邪魔しようとする。その手をかいくぐって、女の子の額に手を乗せた。体の生きる力、元気になれ。力を注いだ。生きる力が戻ってきた。もう大丈夫だろう。咳もおさまってきた。薄く目を開いた。
「お狐さん?」
そうだよ。
「お狐さん、ありがとう」
あたしは嬉しくなった。ペロッと女の子の頬を舐めて、帰ろうと後ろを振り向くと、さっき邪魔しようとした大人たちが手を合わせている。
「お狐様。ありがとうございました」
「四尾のお狐様だとはつゆ知らず失礼しました」
あたしはお狐様になってしまった。尻尾が四本なの?知らなかった。
それからしばらくして女の子は治ったようだ。
季節はだんだん暖かくなってきた。村人たちが森にやってきた。何本か木を切って広場を作っている。小さな社を建てた。
「お狐様、ありがとうございました」
女の子の家にいた人だ。パンパンと手を打ってお辞儀をしている。あたしの家らしい。でも中に入れないから床下で眠る。
女の子がお参りに来た。
「お狐さん。あそぼ」
呼んでくれた。友達呼びだよね。あたしは床下から出ていった。
あたし達は仲良く遊んだ。時々他の子供も来て楽しく遊んだ。
何年もそうやって暮らした。
そしたらまた友達がお嫁に行くと言ってきた。
あたしは泣いた。また友達がいなくなる。
一晩泣いて思いついた。ここは前の山と違って縄張りがない。
だったらついて行けばいい。あたしは嬉しくなった。
女の子の家に行った。まだ女の子はいた。
家から出て来た。知らない大人がいる。挨拶して女の子を連れて行く。あたしは見つからないように後をついて行った。二つ村を越して三つ目の村に入って、村はずれの森の近くの家に入って行った。ここが新しい家なのだろう。
あたしは森の中でねぐらを探して寝た。やっぱり小さな動物しかいない。他の動物の縄張りはなかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます