第55話

 上級異界の攻略を始めてから5日ほど経った頃、ようやくボス魔物を出現させる黒い柱の発見を1つの異界で見つけ出した。


 「5日掛けてようやく1つか……。」


 上級異界に成長して探索時間がかなり伸びている。これが途中途中で次元空間の出入り口に登録して攻略の再開が出来る俺だから良いが、他の人たちが上級異界を攻略しようと思うとかなりの難易度になるだろう。


 そうして見つけた上級異界の黒い柱を見て、早急にボスの魔物を倒して上級異界を攻略したい。


 この1週間の間で海外の攻略する事が出来ていない異界から上級魔物が異界の外にかなりの数が出て来ている。


 今の人類では1パーティー6人の探索者パーティーで中級魔物を倒せるくらいの戦力しかなく、1パーティーで上級魔物と戦える者は居ない。


 もし軍隊が上級魔物と戦うことになれば、中級魔物と戦える人が小隊規模は必要だろうし、それも死を覚悟しないといけないほもだ。


 その為、10機で余裕を持って上級魔物を倒せるゴーレム部隊への要請はかなり来ており、これ以上日本の上級異界攻略を先延ばすのは出来ないし、1つでも上級異界を攻略すればその分だけゴーレム部隊を他の場所に向かわせられる。


 「さてと、一先ず登録してから上級異界を探索しているゴーレムは全て戻すか。」


 上級異界のボスの魔物は最上級の魔物だろう。だからこそ、万全の体制でゴーレムたちには戦って貰いたい。


 早急に帰還させたゴーレム部隊のゴーレムボディと武装の耐久度の回復をポイントを消費しての高速修理で行ない、上級異界の黒い柱の発見から30分後、何もない広い空間で修理を終えたゴーレム部隊を取り出した。


 「これからお前たちには上級異界のボス魔物と戦ってもらう。予想では現れる魔物は最上級クラスの魔物だろう。だが、これだけの数のゴーレムが居るのなら倒せるはずだ。頑張って来てくれ!!」


 これから上級異界のボスの魔物の討伐に向かうゴーレム部隊(数は350機)の前に立ち、これからの行動方針を告げる。


 この場にはアンドロイド型ゴーレムや飛空艇型ゴーレムは居ない為、声は聞こえないが、それでもゴーレムたちは俺の言葉に反応してそれそれが手に持つ武装を天に向けて突き上げた。


 そして、俺は今回発見した上級異界の黒い柱付近に登録された次元空間の出入り口を開いて、この場に集まっているゴーレム部隊を向かわせる。


 ぞろぞろと数の多いゴーレムたちは行軍して行き、最後尾のゴーレムたちが次元空間の出入り口を通るのを確認すると、俺は開いていた次元空間の出入り口を閉じて、自身が生活している空間の出入り口を開いて向かう。


 俺が暮らしている空間に戻ってすぐにソファに腰掛けると、俺はこれから上級異界のボスの魔物と戦うゴーレム部隊の姿を見る為に俯瞰視点の画面を開いた。


 「こっちの準備は終わった。黒い柱に触れてボスを出現させてくれ。」


 人型ゴーレム部隊全てを率いている02ゴーレムへと俺は命令を出すと、02ゴーレムが黒い柱に触りに向かう。


 そして02ゴーレムが黒い柱に触れると黒い柱は消えて行き、その代わりに20メートルはあるだろう巨大な狼の魔物が現れる。


 「アオォォオオオオーーーーーーーーーォォン!!!!!!!!!」


 出現した巨大な狼のボス魔物は遠吠えを行なうと、大量の武装を構えて攻撃体制に入っているゴーレム部隊へと駆け出した。


 「攻撃が来るってのに真っ正面から来るのかよ。」


 その巨体に見合わないほどの速さで巨大な狼のボス魔物がゴーレム部隊へと接近して来るが、ゴーレム部隊もそんな巨大な狼のボス魔物に武装を向けて遠距離攻撃を行なった。


 遠距離攻撃ゴーレム部隊の魔法杖型武装や新しく製造した魔法銃型に銃型武装が、迫り来る巨大な狼のボス魔物へと向かって放たれた。


 火属性、水属性、風属性、土属性、光属性、闇属性と様々な属性の魔力ボールが魔法杖型武装から放たれ、魔法銃型武装からは魔力弾丸が放たれ、銃型武装からは弾丸が放たれ、巨大な狼のボス魔物に向かっていく。


 次々に遠距離攻撃ゴーレム部隊の攻撃が巨大な狼のボス魔物に命中していくが、巨大な狼のボス魔物の毛皮に損傷を与えるだけで肉体にダメージを与えられている様子は見受けられない。


 「マジか。あれだけ遠距離攻撃を受ければ上級魔物なら倒せてるぞ。」


 流石、最上級クラスの魔物なのだろうが、巨大な狼のボス魔物の毛皮に損傷が与えられており、これを繰り返せば肉体の方にもダメージを与えられる様になるだろう。


 だが、そう簡単には行かなさそうだ。既に巨大な狼のボス魔物とゴーレム部隊との距離はだいぶ縮まっており、遠距離攻撃を行なえてもあと1回だけだと思われる。


 遠距離攻撃ゴーレム部隊は指揮を行なっている06ゴーレムの指示でもう1度、巨大な狼のボス魔物へと攻撃を行なうと、前衛よりも前に出ていた遠距離攻撃ゴーレム部隊はすぐに後方へと下がった。


 そして遠距離攻撃ゴーレム部隊が下がると前に出て来たのは、大型ドールゴーレムよりも大きなサイズのゴーレムボディを持つタイタン型ゴーレムたちだ。


 1番小さなサイズでも5メートルのタイタン型ゴーレムたちが、大型の盾型武装を構えて巨大な狼のボス魔物を迎え打つ。


 身の丈に合う盾型武装を構えるタイタン型ゴーレムたちに、巨大な狼のボス魔物は突撃の勢いを活かしてそのまま体当たりを行なって来た。


 2機のタイタン型ゴーレムの間を通り抜けようと体当たりを仕掛けた巨大な狼のボス魔物だったが、タイタン型ゴーレムたちが後方に凄い勢いで押し出されるだけで巨大な狼のボス魔物を受け止めた。


 受け止められた巨大な狼のボス魔物はすぐに後方に飛び退いて今度は爪で攻撃を仕掛ける。


 腕がぶれるほどの凄い速さで腕を振るった巨大な狼のボス魔物の攻撃は、タイタン型ゴーレムの1機に直撃すると、タイタン型ゴーレムは盾型武装で防御に成功したにも関わらず吹き飛ばされそうになっていた。


 ギリギリで踏ん張りが効いていたお陰で吹き飛ばされずに済んだが、5メートルはある金属の身体が少し浮きそうになっていたほどだ。


 一体、巨大な狼のボス魔物の一撃はどれほどの攻撃力を持っていたのだろうか、そんな疑問が湧いてくるが、タイタン型ゴーレムたちの隙間からドール型ゴーレムが巨大な狼のボス魔物に攻撃を行なった。

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