年増と大学生

青い葉

第1話 年増盛

 連日、テレビやネットでは汚い大人たちが少女にわいせつな行為をして逮捕されたというニュースが報道されている。どうして行動に移してしまったのだろうとソファに座りながら感じる。自分は手は出さず陰から一人で行為に及んでいるというのに。そんなニュースを朝から聞いて気を悪くしている母親の反応に愛想笑いをしつつも、しかし僕は前屈みになってパジャマの膨らみを隠した。


 ニュースを見るだけでも興奮してしまう。特に、毎日の自慰行為を欠かさずに行なっている自分は、授業中、サークル活動中、通学途中などいつどんな時でも妄想ばかりしてしまう。保存済みの画像は強刺激のものばかりだ。そんな自分でも、毎日毎日ティッシュのゴミを増やす生活にはうんざりしていた。


 僕は童貞だ。女性の裸も写真や画面越しでしか見たことがない。いつかは自分も女の人と…。汗を垂らしながら汚い声を出す男優に自分を重ね合わせながら、それでも僕は今日も一人ぼっちで性欲を満たしていく。


 そんな生活を続けて三年ほど経ったある日、出会い系サイトで知り合った女性と会うことになった。少女とはいかなくてもいい加減本物の女性に触れてみたいと考えた僕はついにネットに手を出してしまった。今の時代そのようにして出会う男女も少なくないだろうが、自分のプライドが少しだけ傷ついたような気がしてならない。そんな気持ちとは裏腹に、このチャンスをものにしようとしている僕の陽物はじわじわと硬くなっていった。


 その女性はお世辞にも若いとは言えなかった。ただ、身につけている飾りの多くはどれも大きく派手で女性を優雅に魅せていた。約束の待ち合わせ場所、教えてくれた会う時のの服装も一致しているので恐らくこの人だろう。

こんにちは、と挨拶をすると女性はすぐに僕の手を引っ張って人気のない路地に連れ込んだ。

 女性が提示した条件はひとつ、一回三万ということだった。それだけを言うと、首を縦にも横にも振る暇もなくまた僕の服の袖をつかみ、女性は慌てたように待ち合わせ場所近くの住宅街へ僕を引っ張っていった。


 そこは女性の自宅のようだった。家の中に入るなり、女性の香水がまた濃くなったような匂いが鼻をつく。その匂いに反応したように興奮した僕の胸と一物は熱くなり、理性が崩壊した犯罪者の気持ちに初めて共感した。ついにするのか。ここまでの出来事が一瞬のことように感じられた。知り合って間もない年増の女性が初体験の相手だというとこに少し複雑な思いがしたが、僕の気分は一瞬のうちに高揚していった。

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