華伝記
華葵
組織設立編「幹部三人の出会い」
条章
静かな街に誰かが来た。彼は悲しんでいた。彼はここに来るのは初めてだった。彼は歩いていた。どこに向かっているのかは知らない。誰かが彼に声をかけた。
「ここに来て何をするの。ここには宿がない。大丈夫か。」
彼は首を振るだけだった。
「誰かは諦めて頑張ることだな。」
とだけ言い残してどこかへ行った。それから彼はどこかの家の前にたって、…佇んでいた。家から誰かが出てきた。それは彼がそこに来てから実に3時間後のことだった。彼女は夕飯の買い出しに出てきたようだった。
「そんなところで何をしているの?大丈夫?あなた、名前は?」
彼は
「坂口。」
といった。
「坂口さん、中へ入る?」
彼女は聞いた。彼は
「飯」
とだけ言った。彼女は不思議な顔をしながらも
「中へいらっしゃい。分けてあげるわ。」
と言ったが、彼は首を振った。彼女は困ったようだったが、家の中へ入ってパンを彼にあげた。
「差し上げるわ。もっと食べたかったら家へ入って頂戴。ああ、お金は取らないわ。あなた、困っているのでしょう?」
彼は黙ってパンを食べた。何も言わなかった。彼女は黙って彼を見ていた。彼が食べ終えると、彼女は
「美味しかった?」
と聞いた。彼は何も言わなかった。ただ、
「感謝する。」
と小さい声で言った。彼女は
もう大丈夫なの?ここで倒れていたのに。
と心配そうだった。彼は
「君の名を。」
と言っただけだった。誰かは不思議に思いながらも
「あたしは華子よ。中華の華に子供の子で華子。分かるかしら?」
と説明した。彼は
「そうか。華子さん、ありがとう。それでは。」
と珍しく多く話して何処かへ行った。彼女――華子はしばらく彼を眺めていた。
彼は二度と其の地を踏まなかった。彼が何処へ行ったかは誰も知らない。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます