第3話 大根王子Ⅰ 三

 王宮から追い出されるように町に出たアルベルトは、クリフから聞いていた家に住むことになった。緑色の屋根の家で贅沢ではないが手入れはされていたようで、一般都民が住むには十分な物件だ。

「私は王宮の仕事もありますのでもう常に王子のお世話をするわけには参りませんが、これからもこまめに顔を見せに参ります。何かありましたらお申し付けください」

「ありがとう助かるよ」

「東にクロガネという鍛冶屋があります。そちらで事務を手伝うよう手配されましたので、まずはそちらの方へお勤めくださいませ」

「何から何まですまないなクリフ」

「いえ、仕事は王が手配なさったのです」

「え?」

「王は儀式の場では辛く当たりましたが、やはり王子が気になっているようで。魔法に頼らずとも王子は真面目だからいずれ町で認められるであろう、しっかりやれよと仰せつかりました」

「そうか。父上はまだ僕のことを気にかけてくれていたんだな。これから王家はどうなるのだろうか」

「他のお世継ぎがいない以上は、我が国も魔法に頼る時代が終わろうとしているのかもしれません。その時のためにも見聞を広めておくのは悪いことではないでしょう。しかしまあ、恋多き王のことでございますから誰か思い当たる節があるのかもしれません」

「お、おいおい息子の前でそんな事言わないでくれよ」

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