第30話
シンドバッドさんが手に取ったのは一つの玉。
ボール?水晶?球?たま?タマ?
そのどれとも違った。それはまるで水を丸くしたように流動していた。
「これが千夜一夜物語・・・ですか?」
「そうだよぉ」
正直何なのこれ?状態
千夜一夜物語って本だと思ったから。だって物語の集まりなのでは??アレ?魔導書って言ってなかった??
「千夜一夜物語に決まった形はありません。その編によってこのように液体の玉だったり、雲のようだったり、と様々なんです」
アラジンさんが説明してくれる。
「そんなのよく分かりましたね、シンドバッドさん!」
「簡単な見つけ方があるからねぇ」
「それはそれは??」
バイコさんとアーズさんが耳を向け聞く。
「バイコ君はグランド語分からないだろぅ」
「これで目的達成ですね!シンドバッドさん!」
「それはよく分かんないけど綺麗だから拾ったやつ。ご主人様、それが欲しいのか?」
拾ったって結構分からない人には簡単にゲットできるのかなー。
「まぁそうですね」
「あげる!だから汗をください!!」
ブレねぇなーこの人。
「クロちゃん、汗くらいあげたらぁw」
「「「ダメだ!!!」」」
アラジンさん、アーズさん、バイコさんが揃って声を上げる。ビックリしたー!
「じゃあそれはあげない!」
「貴様に選択権はないんだよ」
アリババさんがバイオさんの首元に剣を添える。
「まだ殺さないぃアリババ」
「はい!」
「それでこれが千夜一夜物語で、良いんですよね?」
「そうだよぉ、その一夜だよぉ」
「一夜?」
「千夜一夜物語は全部で282夜ある、1話を1夜と呼ぶんだぁ」
「282夜!?」
「その全ての話を集めて読んだ時に魔神が現れて願いを叶えてくれると言われてるぅ」
そ、そういう仕組みだったのか・・・・魔神ってのは多分映画にも出てきたあの青いアレだと思う。
「でもよぉこれを読むって何だよ?どう読むんだ??」
「こうやるんだよぉ」
そういうとシンドバッドさんは玉を宙に投げた。
玉は破裂して俺達を包み込んだ。
そして脳内に流れ込んでる一つの話。
それは強制的に勢い良く波のように頭に入ってくる。
話の内容は冒険譚。まるで自分がその話の主人公のように物語を追っていた。
時間にして5分もなかったが話が終わり解放された時、ものすごく疲れ切っていた。
「ハァハァ・・・・!何、今の?」
「今のが千夜一夜物語を読むと言う事だよぉ」
前の世界だと超高度にしたVRみたいなものに近いのかな。それにしても疲れた。
動機が治ってきた。そして俺はやっと周りの異変に気付く。
「アレ?気が付いてるの、俺とシンドバッドさんだけ??」
「千夜一夜物語から魔力に応じて目覚める早さが違うんだよぉ。クロちゃんは魔力強いから目覚めるの早いと思ったけどぉアラジンより早いとは思わなかったなぁ」
シンドバッドさんが俺の方に近づいてくる。
そして両手で頬を抑えられた。
「さぁクロちゃん。今は2人っきりだ。君の秘密を聞きたいなぁ」
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