第26話

「ふわぁー…」

気だるげな体を起こしながら、朝を迎える。

今日は9月1日。楽しかった夏休みも終わり、今日から再び学校が始まる。

「朝…」

まだ覚め切ってない頭を上げ、下に降りる。

「…あれ、結衣まだ起きてないのか」

リビングには誰もいなかった。ふと時計に目をやる。

「…なんだ、まだ6時前か」

いつもより早く目が覚めたらしく、時刻はまだ皆眠っている時間だ。

「顔洗うか」

目を覚ますために洗面所に向かう。

「…ぬるいな」

9月とはいえまだまだ夏の季節。少しぬるい水に苛立ちを覚えつつも顔を洗う。俺は冷たいほうが好きなんだよ…

「はぁ…」

1人の男を思い出す。

『お前は二学期に入った瞬間終わりだぜ、神崎』

亀井だ。俺はあいつの言ってたことを忘れていない。

「今日がその二学期開始の日なんだよなぁ…」

少し憂鬱になる。

おそらく大したことはして来ないとは思うが、それでも何をしてくるか分からない以上、学校へ向かうことも嫌になる。

「でも行かないとなぁ」

昨日の帰り道の時、

『ねぇ、明日って始業式の日よね?』

『あぁ、そうだが』

『あのさ、放課後にこの前にできた喫茶店行ってみない?』

『この間できた喫茶店…駅前のか?』

『うん』

『分かった、明日行こう』

と、約束しているので行かなくてはならないのだ。

リビングに戻り、朝食を作ろうとする。が、

「あ、兄さん」

「ん?結衣、起きたのか。おはよう」

「おはようございます、今から朝食作りますね」

「おっ、ありがとな」

結衣が作ってくれるらしい。俺はそのままソファのほうへ腰掛ける。



朝食を済ませ、再び時計を見る。

7時頃、そろそろ学校へ向かうか。

身支度をし、家を出る。

「結衣、俺先に行くから」

「あ、はい。行ってらっしゃい」

そうして家を後にする。



教室に着く。相も変わらず賑やかなようで安心した。

「いいよな…こういうの」

廊下を歩いていると教室から声が聞こえてくる。

それだけで安心感があるというもの、としみじみ実感する。

「おはよう」

「おっ、おはよう勇也」

「やっほー神崎くーん」

クラスメイトが返事を返してくれる。うれしい。

クラスをぐるっと見る。花蓮や陽介に川瀬さん、亀井はまだ来てないらしい。

そのまま自分の席に足を運び、座ろうと椅子を下げる。




瞬間、俺の机は爆発した。




朝、窓から出る日差しで目が覚める。

「うーん、朝かー」

体を起こし、リビングへ向かう。

「おはよー母さん」

「あら花蓮、おはよう。朝ごはんできてるわよ」

「あ、ありがとー」

ご飯を食べて、学校へ行く準備をする。

「そういえば、今日は勇也と一緒に駅前の喫茶店行くんだったわね」

勇也と2人きりで…なんだかデートみたい。

嬉しさで心を震わせながら学校へ向かう。

早く彼の顔が見たい。早く彼と話したい。

その気持ちで足早に学校へ向かう。

校門前まで来た。すると、

ドーーーン!!!

「なっ、なに!?この音…」

耳を劈くような轟音が響き渡る。とっても嫌な音だ。

辺りを見渡す。何やら気になる部分を見つけた。

「あれは…煙?」

黒い煙が自分のクラスと思われる場所から出ていた。

まさか、あそこから?

そして、最悪の事態を想像してしまう。

「もしかしたら…勇也も中に?」

嫌な予感がする。嫌だ、あそこに行きたくない。

でも足が勝手に動く。その場所へ行こうとする。


そこには見たくない光景が広がっていた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る