Sky journey
柚木
city on a ship
sky city
________________空の街。
そう言ったら、皆驚くだろうか。
船内のロビーに風が吹き抜ける。
これは、私が空を旅する物語。
ああ、今日もいい天気だ。
~…~…~…~… ・ …~…~…~…~
「んん………………」
上体を起こして伸びをする。
くあっとあくびをしながらカーテンを開ける。今日もいい天気だ。
さて、同居人でも起こすこととしよう。
「カミエス、起きろ」
「んあー……、なんだよルース、今日は別に何もないだろぉ~!?」
「何もなくたって規則正しい生活はすべきだろう?」
「ぐっ……まぁ、その通りではある…………」
洗面所に向かい、水で顔を洗う。
目の下に隈ができている。最近ちゃんと休めていなかったか。
服を脱いで、制服に着替えていく(学生という訳ではなく、船の隊別制服だ)。
「おい、先に飯行っていいか?」
「あ~……勝手にしろぉ~…………私はもうちょっと寝る………………スゥ……」
寝息が聞こえてくる。寝ることだけはピカイチの速さだ。
はぁ、と溜息を吐いて部屋を出た。
~…~…~…~… ・ …~…~…~…~
今日は特段日差しが強いようだ。船の天窓からの光がまぶしい。
食堂につくと、皆朝食をとっているのだろう。大盛況だ。
私も今日の朝食セットAを頼んで受け取る。こんがりと焼けたパンとベーコンエッグが美味しそうだ。
「いただきます」
「なぁ、聞いたか?ここって実は偽世界らしいぜ」
「はぁ?何言ってんだよ、そんな訳ないだろ~」
「いや、まぁそうなんだけどさぁ」
後ろの席からヒソヒソ声が聞こえた。
「ふむ……偽、ねぇ」
秘密事項が外に漏れている…………?
いや、どうせこじつけただけの妄想だろう。
朝食を食べ終えた私は、いつものように執務室に向かった。
~…~…~…~… ・ …~…~…~…~
「…………あぁ、分かった。すぐ増援を送ろう」
無線に緊迫した声が次々と入る。
『こちら第二番隊!敵の攻撃威力が高すぎます!!』
『こちら隊長、制圧完了』
「こちら司令部。カミエス、第二番隊の戦闘エリアに向かってくれ。敵は攻撃威力が高い、慎重にな」
『了解~!』
度々湧く異形種____所謂モンスターの対処にも飽き飽きだが、これが私の仕事なので放っておく訳にはいかない。
異形種は私達人種と同じくこの船に乗っている。出没頻度は一日に数回と言うぐらいだろうか。
この船は人の衣食住、自然、科学センター、医療など全てのものが集まっている。
そんな場所で大々的に戦闘なんてしたら何もかもがめちゃくちゃになるが、ここにいる天才的科学者(まぁ、変人なのだが)によってコンパクトな空間移送装置が作られたため楽々戦闘エリアに持ち込むことができる。
戦闘エリアは言わば異空間なので、船への損傷を気にすることはない。
『こちら二番隊、制圧完了』
今回の仕事は終わったようだ。
もう暗い時間だが、私はこれから第一番隊から第五番隊まで全ての報告書を確認しなければならない。完全なるオーバーワークだ。
これでも一応、司令隊長だからな。
「ふあぁ…………」
誰もいない一人きりの部屋で、大きくあくびをした。
もうひと踏ん張りだ。
~…~…~…~… ・ …~…~…~…~
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