短編「心音ノ勇気」(完)

不可世

一話完結

どこから間違えたのだろう

この人生という

命の物語を

一体どこから間違えたのだろう


歩いても歩いても

一人で

涙が伝う


しょうもない事を

避けて

自分本位に生きて来たから

やがて人々との

線分を違えてしまったのだろうか


もう一度

あの頃に

戻れたら

次はもっとうまく

はみ出さずにやれると


そう思うが

人は過去には戻れない


この一生は泣いても笑っても

同じ終焉へと向かう


もう金輪際、不幸と寄りを誓い合った方が

ダメでもともとだと

そう、諦めてしまえば

求めなければ

いいのではないかと、


ただこの一度の希少価値を

もう無視して

むざむざと消化して消費して

ただ淡々と時間を流れ


そのまま骨を埋めた方が

いいのではないか


こんな私の命など

こだわる必要などない

ただ死んでしまえばいい

ただ消えればいい


そっと消えればいいんだ


そうなんだ

そうすればいいんだ


だけどなんで

なんで泣けるかな

なんで胸が痛むかな


こんなに散々になっても

心が機能してるから

もう何度も打ちのめされる


もう本当になんなんだ

痛みは無視しても消せない

どうしようもないほど痛む

涙が伝う


ああ、ほんと、心の馬鹿野郎

もうやめてよ

これ以上、苦しめないでよ


なんで切っても切れないこんなものを作ったんだ

心なんて臓器でもないのに

どうして感じてしまうんだ


言葉を消しても

痛むんだ

ほんとバカだよ、痛いだけだよ

なんで、なんで


もう、壊れちゃうよ。

壊れてるんだよ


それでもあなたは

この心というあなたは

私に何か伝えたいのかな


そうかな

そうなのかな


いつか幸せを知るために

動いているのかな

それなら、


それなら、

苦しいけど


生きてみた方がいいってことかな

ねぇ私の心、


あなたは私に何をくれるつもりなの

本当に信じていいかな

大丈夫かな


この先、生きて、

いい事があるってあなたはそのために

そのいつかの光のために

動いているの?


そうなら

それなら・・・


生きてみるよ


生きてみせるよ。

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