第2話15年と決意
この新しい世界に生まれ落ちて15年が経った。
15年も経つとこの世界のことについて大体の事は分かった。
まず、前世と一番異なる点を挙げると、この世界には魔法がある。それも、前世で想像されていたものと同じようなものだ。
正直、やってんなと思ったけど、実際に自分が使おうと思うとそれがありがたかった。イメージがしやすいので使えるようになるまでの時間が短く済んで、かつ、習熟のスピードも早い。どこのご都合主義小説だよと自分でも思ったが、実際に自分が体験する分にはご都合主義の方がいい。
話が少し逸れたな。次にこの世界の生活レベルだが、現代日本で生活をしていた俺からすると娯楽部分が少し物足りないがそれ以外はまあ普通に不満なく暮らす事はできている。魔法がないとゾッとするような生活レベルだが。インターネットがないのがかなり痛い。魔法があるのでそれを補って入るが。
最後に、この家について。実質これが一番大切だ。何せ、俺の将来に関わる話だったからな。この家は俺を含め3人家族で、ハーフエルフの父とヒトの母と俺の構成。これについてはあまり気にしない。長命種であるエルフの血が入っているから俺の寿命が普通の人より少し長くなるだけだ。
一番大切なこと、それは、この家の財政状況だ。これが良くないと俺はこの世界でもニートになれないからな。「働いたら負け」これが俺の前世からのモットーだ。
幸いなことに、農業を主軸としているこの家の財政状況は普通に良い。少なくとも今日食べるものに困るなんて事はない。娯楽本は少ないが、魔法について書かれた本は多くあるし、教育についてもしっかりしている。子供である俺が稼ぎに出ないといけないことになった事はない。
前世の基準ではあるが、家の畑だけでやるような小規模の農業だけでこの生活はできない。しかし、この家は裕福だ。寝室にある箱にぎっしり詰まった金貨を見れば明らかだ。
この秘密は恐らくだが、ときどき出かける狩りにある。俺も何度か連れて行かされたが、換金所からの帰りに行きには持っていなかったパンパンに膨れた皮袋を持っていた。あれの中身が金貨なら理屈は通る。
「誕生日おめでとう。レイも今日から成人か。早いな」
「はは、ありがとう。」
「それでレイ、大人になったあなたはこれからどうするつもりなの?」
おっと。何やら風向きが怪しいぞ。前世でニートをしていた時にも同じような話が何度かあった記憶がある。もうずっと前の記憶で、さっきまで忘れていたのに急に思い出した。
「どうするって、このまま家にいるけど?」
「外に出てみようとは思わないのか?」
「えー、だって外は危ないじゃん。魔物や盗賊だって出るんでしょ?」
「だから大丈夫なように剣も魔法も教えたでしょ。剣はまあ、及第点だけど、魔法は得意じゃない。それだけできれば危険なことは少ないわ」
「可愛い娘を危険に晒すっているの」
「自分で言うか。まあ、可愛いが。そんなに外に出たくないのなら結婚でもするか?そうすればずっと家で暮らせるぞ。本当は嫌だが、村長が孫をどうかと言ってきているし話を受けようか?本当は嫌だが」
どんだけ嫌なんだよ。
「何言ってるの、父さん。冗談に決まってるじゃん。ちゃんと家を出てしばらくは一人で頑張るに決まってるじゃん。結婚とか死んでも嫌だし」
結婚とか冗談じゃない。
この世界は同性愛自体は禁止されれいないが、同性婚は認められていない。結婚をしようと思うと、必ず異性とでなければならない。
俺はこの世界では女性として生まれてきたが、中身は前世のまま。つまり、男である。そして、俺はゲイでもバイセクシャルでもない。創作物を読む分にはまだいいしそういう人たちのことを否定するつもりはないが、自分が同性と好き合うということは考えられない。俺は恋愛対象が女性なのだ。男と結婚するつもりはない。
「わかった。それなら俺たちが昔使っていたものをレイに譲るよ。ちゃんと手入れしてるから今でも問題なく使えるはずだ。それと、村長の話は断っておく」
「ありがとう」
はあ、嫌だな。働きたくないな。でも、男と結婚はもっと嫌だしな。仕方ない。
こうなったら適当にやって最速で戻ってきてヒキニート生活じゃなくて異世界スローライフを満喫してやる。
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