第41話.街からの脱出③
それからしばらくして、二人は北門の前に到着した。
日が暮れたばかりのためか、門は街に入って来る人々で賑わっていた。
たくさんの荷物を荷馬車に積んだ商人。二輪の荷車に農作物を乗せて、それを引っぱる男性。何人かで連れ立って歩く
逆に、これから街を出ようとしている人は一人もいないように見える。
「外から入って来る人ばっかりだね」
「そうですね。これから街を出ると目立ってしまいそうな気がしますけど、兄さんには何か考えがあるのでしょう」
なんとなく不安を感じるマリベルに対し、ティトは兄を信じ切っているのか自信満々で答える。
「ふふふっ。もう、ティトったら、ほんとルイスのこと信頼してるんだね」
「はい。もちろんです」
何の迷いもなく答えるティトに、マリベルは楽しそうに目を細める。
「それで、そのルイスはどこで待っているの?」
辺りを見回すが、ルイスらしき人物は見当たらなかった。
「それはですね。あ、その路地を入って奥へ行ったところですね」
ティトはマリベルの手を引いて、北門から少し離れた細い路地へと入っていった。完全に日が暮れた今、灯りの少ない細い路地の奥は薄暗かった。
「ルイスいないね」
薄暗い路地に不安を感じたのか、マリベルはティトと繋ぐ手に力を込めながら、もう一方の手をティトの腕に絡ませる。
マリベルの体温を感じて、体を硬くするティト。
その直後、シャランという鈴の音と共に、ティトの前に、上から何かが降って来た。咄嗟に、後ろにマリベルを
夜目の利くティトには、その姿ははっきりと見えた。
白地に赤をあしらった騎士服。そのうえにハーフプレートを装備している。さらに、白いマントをつけていた。
手には1本の長い杖のようなものを持っている。
マリベルが息をのむ音がはっきりと聞こえた。
その姿は、昨日見た
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🔸まさか!? 追っ手?
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