第7話.狐耳の少女とルイス・ナバーロ④
二人の睨み合いは数秒も続かなかった。
先に動いたのはルイス。
まっすぐにバルドゥルの懐へと飛び込む。それを迎え撃つようにバルドゥルは上段に構えた片手剣を袈裟斬りに振り下ろした。
それを読んでいたのか、いやルイスがそうなるように誘ったのか。
ルイスはぎりぎりのところで右へと
それに対して、バルドゥルは剣の勢いを殺さずに振りきると、その勢いのまま短剣を避けつつ一回転してルイスに横薙ぎの一閃を叩き込む。
たまらずルイスはバルドゥルの脇腹を狙った短剣を引き戻すと、短剣の刃で片手剣を受け流しながら剣の下をくぐり抜けた。
そのままバルドゥルの横をすり抜け、振り返ると短剣を構えなおす。
バルドゥルのほうもルイスのほうへと向き直ると再び片手剣を上段に構えた。
先ほどとは位置を入れ替えた二人は再び睨み合う。
「賊のくせにやるじゃねぇか」
「おまえも貴族の飼い犬のわりには歯ごたえがあるな」
二人は同時にニヤリと口の端をあげる。
再び張りつめる空気。
今度は、バルドゥルのほうが先に動いた。
一歩踏み込んでルイスを間合いに捉えると、神速で振り下ろされる片手剣。
速い!
ルイスは体を引いてバルドゥルの剣先を
剣圧でルイスの髪が強風に吹かれたように激しくなびく。
攻撃に転じようとしたルイス。
そこへ振り降ろされたバルドゥルの剣が神速を持って返ってくる。
「おわっ!」
予想よりもはるかに速い斬り返しにルイスは驚きの声とともに仰け反った。
避けきれなかったのか、ルイスの服が裂け血が滲む。
たまらずルイスは後ろへ飛び
だが、バルドゥルの追撃がルイスを追う。
繰り出される連撃にルイスは防戦いっぽうだ。下がりながら、自分へと迫る剣だけを確実に短剣で
そして、隙をついて一度大きく下がった。
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🔸やばい! 主人公が押されてる!?
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