遊園地デートの未来
鏡面に映し出されたのは、遊園地らしき施設で男児と女児が手をつないでいる姿だった。
男女の顔は琥珀がよくよく知っているものだった。
特に女児の顔は毎日鏡で見ているものだった。
「僕と元就くん!?」
「あったりー」
恥ずかしそうにしている琥珀と元就は恋人つなぎをしていた。
「なにこれー!?ちょっと待って!絶対にない!ない!」
琥珀は、お笑い芸人が、アイドルが、ドッキリ企画を仕掛けられたのをテレビカメラにアピールするかのように大声を出した。
「めちゃくちゃ恋人みたいじゃないか!しかも、スカート履いてるし!ありえない!」
恥ずかしさを発散するがごとく大声を出していた。
「まあ、人間、長く生きてたら、いろいろあるさ」
ウサモフは肩をすくめてなぐさめた。
「これの信ぴょう性はどうなの?」
「確度70%ってところだな。未来は変えられなくもない」
70%という微妙な数字を琥珀は吟味した。
ロールプレイングゲームで攻撃命中率の70%のスキルがあるとすると、よほど威力が飛びぬけていないと使われないだろう。
信頼できない数字とみてよかったが、だが、過半数、いや、それどころか、2/3を超えている。
「この未来をなんとでも阻止するんだ!」
「阻止すると言ってもねえ?何をどうするつもり?」
「えっと、それは……」
琥珀は少し戸惑いながら言った。
「具体的な計画はまだないけど、まずは元就くんとの関係を変えないようにする。普通のお友達のままでいることが大事だよね」
「その発想が、もはや、すでにちょっと女子だよ」
「むきー!ウサモフ!君はなんなの?」
「なにって、君を女体化BLのヒロインとして幸せにしにきたんだよ」
「冗談はやめなよ」
「白砂式部が書いたつきあかりのひめごとのヒロインは、男性と結婚して幸せになったよ?」
「うそだ!うそだ!そんなわけが」
「君は僕が呪いのウサギだということを忘れている」
琥珀は唖然とした。
「それって……」
「呪いと言っても、君を幸せにしにきたのは間違いないよ。ただし、一人の女性としてだけどね」
その晩、虎尾教授は話しかけた。
「あのさ。スカートだけどさ」
「履かない!絶対に履かない!死んでも履くもんか!」
「あ、衣替えだから片づけるかってつもりで聞いたんだけど……」
琥珀は意地になる一方で、元就のことをちょっとかっこいいと思い始めていた自分に嫌気がさしていた。
琥珀はウサモフの言葉に、自分のアイデンティティと未来について深く考え込んでいた。
「スカートを履くかどうかは、僕の選択だからね!」と琥珀は強く言ったが、内心では複雑な感情を抱いていた。
彼女の心の中では、元就に対する新たな感情が芽生え始めていた。
「元就くん、なんかちょっと大人みたいだったな。何を考えてるんだろう」
と琥珀は心の中でつぶやきながら、眠りについた。
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