第2話 それぞれの反応

 その後、ルイス殿下と婚約は解消されて、一週間がたった。


 ルイス殿下の心変わりということで、私への中傷は全くない。

 逆に、悲劇のヒロインのような扱いよと、お母様が教えてくれた。

 

 そのせいか、私への婚約の申し込みが殺到している。

 が、お妃教育から解放された今、しばらくは、のんびりしたい!


 幸い、両親は、新しい婚約を急かすこともない。

 それどころか、断りきれない王命で婚約させたことを謝っていたお父様は大喜び。


 反対に、ずっと浮かない顔をしているのは、5歳年上のマーク兄様だ。


「やっぱり、ルイス殿下と友達だから気まずい?」

と、心配になって聞いてみた。


「いや、そうじゃないんだ。が、なんで、ルイスがアリスとの婚約を解消したのか腑に落ちなくて、気持ち悪いんだよな」

と、マーク兄様が言った。


「だって、あのピンク色の髪の人を好きになったんでしょ? わかりやすい理由じゃない。もともと、私のことは興味なさそうだったしね」


 私の言葉に、マーク兄様は首をかしげた。


「いや、ルイスに限って、それはない。しかも、あの女性って、最近、男爵家の養女になったローラ嬢なんだが、噂が色々あってな。とても、ルイスが気に入るタイプじゃないんだよな。というか、多分、視界にも入れないと思う。なんか、納得できないことばっかりで気持ち悪いんだよ。確かめようにも、ルイスはこの一週間つかまらないし。どうなってんだか」


 さすが、親友であるマーク兄様。あの無表情なルイス殿下の好みまで把握してるとは。

 私には無表情だけど、マーク兄様にはしゃべるのかしらね? 

 想像できないけど。


「ふーん。ま、どうでもいいよ。解消になって、私は晴れて自由の身! そのローラさんには感謝しかないわ」


 と、そこへ、うちの執事がとんできた。


「マーク様、アリス様、お二人にお客様なのですが……」

と、そこまで言って、とまどった顔をする。


「誰だ?」


「……ルイス殿下です」


「は?」

「え?」


「お二人にお会いしたいとのことです」


……え、私も? なんで!?

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