悪堕ち王子の快楽ダンジョン、女冒険者を帰さない ~エロゲの悪役に転生した俺、ひっそりスローライフを送りたいだけなのに美少女たちが集まってくるんですけど!?~
第29話 この身に代えても仕上げてみせますので!
第29話 この身に代えても仕上げてみせますので!
「街を……作る? どういうことですか?」
ノームのマインが、首をかしげる。
「言葉通りだよ。ダンジョンの中に街を作るんだ」
「ほへ……?」
「空間を広げて、整地して、建物を建てて、インフラを整備する。マインたちも住める街を作るんだ」
もともと、そういう規模の建築というか建設はやってみたかったんだ。
それに小規模な仕事を与えたところで、またすぐこうして次の仕事を要求しに来そうだ。そのたびに指示を出すのも大変だ。
しかし、マインたちの手がどれだけ早くても街づくりとなれば時間がかかるはずだ。しばらく仕事には困らない。
「ダンジョンに街……? 作って、いいんですか?」
「ダンジョンマスターの俺が作るって言ってるんだ。もちろんオーケーだろ」
俺はダンジョンに引きこもっていたい。
そしてシコシコと建築やキャラメイクを楽しめればいいんだが……メディや朧、ニューたちはそれだけじゃあ時間を持て余すだろう。彼女たちが散策できるスポットがあれば生活も潤う。
さらに言うと、街は出来あがったからって終わりじゃない。インフラの維持にだって手がかかるし、住む人間――俺たちの場合はモンスターか――とにかく住民が増えるほど要望も多くなる。
多様性なんて言い出したら、モンスターは種族ごとにまったく別の生き物だ。ニーズに応えようと思ったら果てしない。
ノームたちが欲している『労働』なんて、いくらでも沸いて出てくるはずだ。
「お、おおおおお……!」
マインが武者震いする。
「わぁああああああ! やったぁああ! みなさん、やりますよぉ!?」
「「「ムーーーーーっ!」」」
さらにスコップを振りかざし、
「我らが社長、さいこーーー!」
「「「ムーーーーーーっ!!」」」
ちょっと待て、社長って俺か? むしろ社畜だったんだが?
「社長のために倒れるまで働くぞーーー!!」
「「「ムーーーーーーっっ!!」」」
やめろやめろ。
前世の俺に効くから。
「労働は、報酬だーーーーっ!」
「「「ムーーーーーーっっっ!!」」」
価値観よ。
「さて社長、それでどこに作るんですか? ここですか?」
スコップを握りしめてソワソワするマイン。
「そうだな、まずは場所の確保だな」
メディたちには留守番をしてもらって、マインたちを引き連れ建設現場の下見を行う。
しばらくすると、上層の中にある程度広い空間があった。ここを始点にするか。
「ここから掘り広げて面積と高さを確保してくれ」
盗賊情報によると、俺たちのダンジョンは大きな山脈の端っこに位置するらしい。
それを踏まえると、山腹の中にダンジョンの上層部が位置して、中層や下層、深層部は地下へと続いている構造だ。
これから建設するのは、そのダンジョン上層部。
「位置からすると……だいたい広さは400m四方ってところで」
街とはいっても、俺の住んでいた日本基準じゃない。こっちの世界でいうところのこぢんまりとした規模感だ。少なくとも今のところは。
「了解です!」
びしっと敬礼するマイン。
ちなみに、メートル単位で指示したがしっかりと伝わっている。『日本の同人ゲーム』が元になった世界だからな、そういうところは普通に通じる。
「俺も家からチェックはするし、何かあれば駆けつけるけど。基本はマインに任せてもいいか?」
「もちろんです、社長はごゆっくりと! 私たちがこの身に代えても仕上げてみせますので!」
「そこまで賭けなくてもいいけど……よろしくな」
「はいっ、社長ありがとうございます! 感涙です!!」
使命を得てマインは、活気に満ちた笑顔で作業に取りかかった。
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