天才小説家

木野拿 咏鳴

第1話

天海は天才だ。

彼が作り出す小説はリアルで、先が読めない展開で読者を魅了する。


「ふーんこれが巷で噂の小説家か。」

同僚が興味なさそうに答える

「ああ、俺も好きだよ。なかなか面白い」

「へぇ、黄昏さんミーハーっすね。」


ネットの記事に大々的に書かれていた。

”またもやヒット!天海先生新作”

今度芥川賞は彼ではないかともっぱらの噂だ。

しかし、華々しい話の中、黒い噂も絶えなかった。

「そういや、黄昏さん。また上がったみたいっすよ。仏さん。」


仏さんとは隠語で、遺体だ。


俺は、ジャーナリストだ。主に日本の行方不明事件を担当している。近年、行方不明事件が増えた。そして、不可解なことに天海が小説を出す1日前に行方不明者の遺体が見つかるのだ。

「でもこいつ。マネージャー以外だ〜れも見たことないんでしょ?案外天海って架空の人物で誰かか裏で操ってたりして。」

「それはないだろ、現にマネージャーがみたことあんだろ?」

「それすら怪しいっすよ。マネージャーも。」

いや、あんな小説をかける人なんでそうそういないだろ。

マネージャーと名乗る人物。

風天。

彼は確かマネージャーなど雇わないはずだ。どうも怪しい。

「明日その例のマネージャーと話すんすよね?」

「ああ、唯一彼を知ってるからな」

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