第6話

えーと、ここを曲がるとー。

あった!ありました!あれです!


其処にはお屋敷のような宿があった。

如何にも老夫婦がいそうな雰囲気だ。

まぁ、これは随分と良いところですね。

ふふ、西田さん、お好きかなと思って。

あら、惚気ですか?

そう聞こえますか?


はい、あざとい。 この女、何処まであざといんだろう。でも

許せる。この女が言うあざとさは煙草を唇に乗せたときや、博打に呑まれたときのような、背徳感、とでも言うのだろうか。

ふふ。あ、そういえば此処のお宿の名前、津島って言うんです。

津島、ですか、林檎とかですか?

はい、ここの林檎ジュウス、宿主さんが青森住まいらしくて、よく送られてくるんだとか。それが絶品らしいんですよ。


林檎ジュウスか。最後に飲んだのは何時だったか。 嗚呼、林檎ジュウスではなく林檎のシャンパンなら、晴海の生誕祭にタワーで開けたな。


そうえば、ドル垢の反応。

除いてなかったな。


嗚々ーーー、馬鹿だな!

みんな、誰もかも、この僕が!晴海と!旅行に来て、さらにパフェまで食べたとは思っているまい!

あー!なんて馬鹿なのだ。本当!莫迦ばっかりで面白い。


あのー、西田さん?



はい、どうしました?

なんか少し表情が緩んでる気がしたので、笑

林檎ジュウス、一緒に飲みましょうね。笑

凄く恥ずかしい勘違いをしている様だが、都合がいいので笑って誤魔化した。

さ、チェックインしましょ!西田さん!

うん、そうしようか。

そして僕らはスマホの予約画面を開いた。


ーーあ。

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