第4話
紫陽花。紫陽花だ。
花を活けると云うのだから、もっと、なんか、チューリップ、とか
蒲公英、とか、鈴蘭とか自立している花かと思った。まぁ鈴蘭には確か毒があるんだったか、よく覚えて無いが、それ良くないな。
にしても、紫陽花、紫陽花ねぇ。
予想外の花に、すこし驚くというか、残念、感激、というか、なんとも言えない気持ちになった。只、確かなのは、面白い。面白いということだ。 そういえば晴海のパフェは何の花が活けて有るのだろう。晴海のパフェを覗く。―おお。此れも又予想外だ。芍薬。あの、慣用句にも使われた花。芍薬だ。晴海も多分、予想していた花とは違ったのだろう。目を丸くしながらも、予想外を愉しんでいる。かわいい〜!と写真を撮っているが、内心、予想と違くて、焦っているのだろう。まぁ、焦る晴海が見れて面白いから良しとしよう。さて、パフェが来たんだ。男一人じゃ頼むのも勇気のいる、あの゛パフェ ゛絶対、一生分味わってやる。そうも思いながら、紫陽花を皿の端に移し、一口。
頂きます。
―――。
美味い。そういえば此れはパフェだ、フルーツが乗ってる。蜜柑に苺、アーモンド。人生で此んなにも甘い物を食べたのは、今日が初めてだか、女子高校生達がこぞって食べに行くのも分かる。両親に熱心に育てられた僕には、到底理解なんて出来ない、と思っていたが、この女に覆されてしまった。さすがだ。
やっぱアイドルと食べる甘味は美味しい。只今一つ、気になったのは、 家族とこの女と食べるパフェを天秤に掛けたとき。其の時僕は、何方を貴重とするのか、考えてしまった。
余計。余計だ。旅行に来てるのに、美味しい甘味を食べているのに、何で此んな事考えなきゃいけないのだ。そうだ、裏垢で、ドルオタファン専垢で、この写真を載せよう。別に、匂わせじゃないし、パフェだけ載せればいい。紫陽花をクリームの上に戻し、写真を一枚撮る。
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