うちの赤ちゃんブラック企業

いも

第1話 赤ちゃんは泣くのが仕事よ

赤ちゃんの笑顔は偉大だ。

声を出して笑った日には、こちらの頬がふわふわになる。世界平和だ。


生後4ヶ月

ほとんどの人は少し育児に慣れてきて、余裕もうまれてくる頃だろう。


新生児の頃に比べてお肉がついてふっくらしてきた。太ももの線が愛おしい。

横から見るほっぺはぷっくりとしていて向こう側が見えない。


液体しか飲んでいないのにこんなに立派に育つとは、とても神秘的だ。

(ちなみにうちの夫はよく「牛乳」と言い間違える。わたしは牛ではない)


妊娠中、周りから産後の大変さを嫌というほど聞いた。

泣くし、寝ないし、授乳は頻回だし、体は痛いし。大変だよ!とにかく大変だよ!

わたしはファイティングポーズをとりながら来たる「大変」に身構えていた。


だが、産まれてきた赤ん坊は思っていたよりもずっと大人しくて、いい意味で肩透かしを食らった。

産院では、何十分も止まらない赤ちゃんの泣き声が別の部屋から聞こえてくる。

大変そうだなぁママさん大丈夫かなぁ、と

思える余裕がわたしにはあったのだ。


ビッグベイビーのわりに泣き声がふにゃふにゃの我が子。

お腹が空いたらふにゃふにゃ泣いて、満たされたら寝て、それ以外は静かに起きてどこかを見てるかしゃっくりをしている。

退院後の生活もそこまで大変ではなかった。

家族、友人、助産師さんに保健師さん、色んな方に

「すごく穏やかな子だね」

と言ってもらえた。

同じ時期に出産した友人は、かなり大変らしくずっと泣いている赤ちゃんに心が折れていた。

わたしは正直

「子育てイージーモードでありがたい」

なーんて思っていたんですわ。


4ヶ月経った今。


なんで?どうして??

なんでこんなに泣くの!?!?!?!?

ファイティングポーズなんてとっくの昔におろしてるのに。

というか泣き声どうした!いつの間にそんな大きな声で泣くようになったんだ!?

聞いてないよ?育児に慣れてきてやっと自分の時間も作れるようになるって書いてるよ?

ていうかうるさい!すごいうるさい!

泣き止まないし!おろしたら泣くの!?

あなた背中スイッチあったの!?


同じ時期に産んだ友人が

「もう泣き声にも慣れたよ〜」

と、余裕のあるお母さんに成長している横で

静かだった我が子の大きな泣き声に、ただただ絶望するだけの情けないわたしがそこにはいたのだ。


「赤ちゃんは泣くのが仕事」

よく聞くセリフだ。

その言葉に救われた人もたくさんいるだろう。

でもわたしはこう思う。


あのね、それならね、せめてね、

週休二日にしてくださいよ頼むから!

うちの赤ちゃんまじブラック企業。



大人しかった赤ん坊が、4ヶ月経て本気を出してきた。

疲弊するわたしにこの後もっと最悪な、トラウマ級の出来事がふりかかる。

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