dizzy

かざね

dizzy

自分はどうやら異世界に来てしまったらしい。




異世界では何語を喋っているのか、そんなことを考えたりもしたが、異世界ではコミュニケーション方法が独特で、普通に発声する方法と、テレパシーに近いような方法がある。


自分は最初このテレパシーに近いコミュニケーション方法を取るのがとても困難だったが、今ではだんだんと克服できた気がする。


このテレパシーに近いコミュニケーションっていうのがなんでこんなにも簡単に意志疎通ができるかというと、この方法だと同じ視点を共有したり、視覚に関する情報をいっぺんに共有することができて情報の伝達がとてつもなく早いからである。


日本語のことわざにもある通り、百聞は一見にしかずといった感じである。




そういえば、自分は夜眠れなくてスマホいじってたら、突如目が痛くなるような光に包まれて、気づいたら異世界の道の真ん中に立たされていた。


道の当たりには人がわんさかといて、そこにはアラジンのような服装と日本の和服的な平面的構造も見られた、和洋折衷のような服装が印象に残った。


道行く人達は、みんな他人に見向きもしないでずっと一人で何か遠くを眺めて、誰とも話さずに歩いていた。


最初、自分がその光景を見たときに異様に感じた。やはり、そういう異世界のわかり会えないところの文化なのではないかと思った。だが、それは後にコミュニケーション方法が違うことに影響したということがわかった。


目の色が緋色の字美しい女性が、話しかけてきた。


「どうしたの?」


困った自分の表情が目に見えたらしく、自分はこう思った。


「自分は記憶喪失だという仮定で話を進めたら、辻褄が合いそうだ。」


自分は無意識にその女性にテレパシーを送ったことになっていて、女性は道の端っこで自分に向かって手をふってくれた。すると、外見が病院のような大きい施設に案内してくれた。


その建物は黒く炭が被ったような外見をしていた。しかし、それはなんとなくこの世界の病院に当たる施設だということはわかっていた。


その女性は自分のことを知らないのになぜこんなにも優しいのだろう。単純に疑問になった。さっきの道端で見た限り、他の人は何だか前にいた生活を送っていないように見えるのに。


その病院のような施設に入ると医者がまあるいゴーグル眼鏡に手を添えて、いった。


「うーん。まあ、とりあえず、検査をしてみましょう。」


そうすると、色々な機械が脳裏に浮かんだ。自分は今から何をさせられるのか、そんなことに興味をいだきながら、その機械に入ってみる。


「どうやら間違いなさそうだ。」


医者が言うと、資料をいくつか脳裏に浮かび上がらせてきた。


その資料に目を通した。自分は重度の障害にかかっているらしく、色々な支援を受けられるらしい。自分はそれはありがたいと思い。早速その支援を受けられるように試すことを考えてみた。そして、さっきの女性はいった。


「私の施設にその支援をしていますよ。よかったら私が案内しますよ。」


「それはありがたいです。」


自分はその女性に言われるがまま、その施設に入った。


自分はその施設で仕事をこなした。


その施設では飲食店を経営していて、その施設で働くことによって、支援を戴くという仕組みだそうだ。


自分は主に調理が得意なのでキッチンで黙々と作業をしていた。他の仕事仲間は、みんなテレパシーでなんかしらのコミュニティーがあるのかもしれないけど、自分には全く関係のない話で、自分はキッチンで黙々と作業できればいいやと自暴自棄った。


その施設の建物の構造としては、一階が飲食店を経営していて、二階で自分達が自由にできる寮があった。


そんな日々が続き、ある一日の仕事が終わって、疲れてベッドに寝転びながら、ふと考えた。


「死にたい。死にたい。死にたい。死にたい。」


今の生活には満足をしているけれど、なんだか面白くない。つまらない。自分はこのコンピューターみたいな生活を続けるのだろうか、将来が不安になった。自分は元の世界に戻れるのか、はたまた、今の世界で納得行く生活を送るべきなのか、わからなくなってきた。


その日の夜、神様に会った。


「自分は死にたいと考えているのか、良くないね。」


「だって面白くないんだもん。」


「誰にだってそんなことはあるさ。そう悲観的にならずに気楽に生きていればいいさ。」


(なんだか話が通じないな…)


「話が通じないだって?そんな事言われちゃ困るなー。」


「自分の考えていることが分かるのか。」


「ええ、もちろん。神様ですもの。」


「やはり、神様ってすごいね。なんでも分かるんだ…。なんでも分かるのに、自分の辛さを理解してくれないのか。」


「ふんっ。君の辛さなんて俺がわかってやるほど賢くないんでね。まあ、時間もあともうちょっと出し、さようならー。」


「おい…。」


朝、目が痛くなるような光に包まれて目を我慢して開けるとそこは元の世界の病院だった。


「こりゃ酷いな。お薬を少なめに出してちゃんと飲み切るようにしましょう。保護者の方もしっかりと監視しておくように。」


「わかりました…。」

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dizzy かざね @kazane808

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